アベノミクスによって株価は上がったが、株価なんて実体経済を反映していないから、いくらやっても意味がない。株価で利益を得た連中なんて限られている。地方はいま冷え切っているんです。コロナ禍であろうと、こういう状況を放置せず、手を打つべきだった。

 結果的には、大企業が株価を上げてもらって喜んだ、という経済運営に終わり、広く国民に寄り添った経済政策ができなかったのは残念です。

 これからは自民党と公明党だけの連立政権では続かない。共産党を含め、野党に優れた人材がたくさんいる。そういう優秀な人たちを集めて、挙国一致が必要なんだ。国全体がまとまって、アメリカや中国と対峙(たいじ)していかないといけない。

 晋三はいい人間です。人柄もいい。でも、やれたのに仕切れなかった面もある。彼自身、不完全燃焼で残念な思いだろう。(談)

(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年9月11日号

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら