ジム・ロジャーズ「東京五輪は開催すべき。進もうとすることが大切」

2020年、お金と世界はこう動く

ジム・ロジャーズ

2020/08/28 08:00

 もう一つ、歴史から学ばなければならないことがある。

 東西冷戦で五輪が縮小された80年代とは違い、今回は、世界規模で新しい疫病が流行している。だが、人類は歴史を通じて何度も恐ろしい疫病を経験してきた。

 ところが、今回は世界の歴史で初めてのことが起きた。疫病が、経済をストップさせたのだ。世界中のマクドナルドで閉店や業務縮小が相次いだ。2009年にはメキシコと米国から豚インフルエンザ(H1N1)が流行したが、経済はストップしなかった。1918年にスペイン風邪がはやったときもそうだ。

 コロナは恐ろしいウイルスで、特に高齢者は感染すると重症化するリスクが高い。ただ、未知のウイルスとの遭遇はかつて経験したことのある出来事だ。

 スウェーデンは国を閉じなかった。結果的に、スウェーデンが他の国に比べて突出して悪い影響が出ているというわけではない。

 こんな意見は、今は誰も理解してくれないかもしれない。それでもあと3、4年すれば、実際に誰が正しい判断をしていたかわかるはずだ。

 日本は、これまでも大きな自然災害に襲われている。11年には巨大な津波が襲った。それでも、日本は前に進んできた。今回も同じだ。東京五輪は開催すべきである。

ジム・ロジャーズ/1942年、米国アラバマ州出身の世界的投資家。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界3大投資家」と称される。2007年に「アジアの世紀」の到来を予測して家族でシンガポールに移住。現在も投資活動および啓蒙活動をおこなう

(取材/朝日新聞シンガポール支局長・西村宏治 構成/本誌・西岡千史 監修/小里博栄)

週刊朝日  2020年9月4日号

ジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズ/1942年、米国アラバマ州出身の世界的投資家。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界3大投資家」と称される。2007年に「アジアの世紀」の到来を予測して家族でシンガポールに移住。現在も投資活動および啓蒙活動をおこなう

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