さる4月14日、秋篠宮皇嗣殿下が皇位継承順位1位であることを国内外に示す「立皇嗣の礼」の延期が発表された。

 コロナウイルスの感染拡大で、東京などに緊急事態宣言が出ていることを考慮したものだった。饗宴の儀を取りやめ参列者も大幅に減らすなど規模を縮小して行った後に、秋篠宮両殿下が三重県や奈良県をご訪問される予定だったが、すべて当面延期となった。2日後、新聞の朝刊1面に次のような報道が飛び込んできた。

<皇位継承 旧宮家復帰 有識者に聴取>(産経新聞)
<旧宮家の皇籍復帰 聴取政府、有識者に>(読売新聞)

 即位後1年に伴い本格的な議論を進めていく先駆けとして、政府の担当者が皇籍離脱した旧宮家の子孫の復帰への見解を有識者に尋ねているという内容だった。菅義偉官房長官もこの事実を会見で認めている。

 これまでも安倍晋三首相は、皇位の男系継承維持の重要性を主張してきた。皇統維持のためには旧宮家の男子の皇籍復帰を検討することが望ましいということや女性宮家問題にしても旧宮家から養子を受け入れて宮家を継承していく方法があるということを公言もしてきている。

 方法として、現段階では皇族は養子を受け入れることはできないことから、その条文だけを特別措置で停止させるというものだった。今回の有識者への聴取は、そうした安倍首相の意向に沿い、現行の皇位継承資格や婚姻に伴う皇籍離脱制度に関する意見、旧宮家復帰などが議題だったという。

 小泉政権の時代にも保守派は旧宮家復帰案を主張していたが、旧宮家と現在の皇室が分かれたのは600年以上も前に遡ることなどを理由に退けられたことがあった。

 女性天皇・女系天皇は実現に向け論議されたが、秋篠宮悠仁親王のご誕生で一気に停止したという経緯があった。

 陛下は今年の2月の誕生日会見の中で宮内記者から望ましい皇位継承の在り方について質問されたが、<公的活動を担うことができる皇族は以前に比べ、減少してきております。そしてそのことは皇室の将来とも関係する問題です>とお話しになった。

 そして<制度に関わる事項については、私から言及することは控えたいと思います>と述べられた。

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