元外交官が嘆く、英語教育改革の愚 センター試験の「読み」重点は正しい NHKラジオ英語講座で磨ける能力とは (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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元外交官が嘆く、英語教育改革の愚 センター試験の「読み」重点は正しい NHKラジオ英語講座で磨ける能力とは

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永井貴子週刊朝日
多賀敏行さん

多賀敏行さん

 萩生田光一文部科学相の「身の丈」発言から延期が決まった、大学入学共通テストでの英語民間試験。「読む・聞く」の2技能を測るセンター試験の英語を、民間の試験を活用し、「話す・書く」を含めた4技能を測るように変えようとしていたものだ。今回の延期について、外交官として様々な国の大使や公使を務めた多賀敏行さん(69)は、「延期に留めるのではなく、廃止した方が良いと思う」と指摘する。自身の経験を踏まえ、英語の学び方について語った。

 英語には[読む][書く][聞く][話す]の四つの側面があるが、まず[読む]ことができれば、あとの三つは少しの努力で付いてくる。

 [読む]ことによって学んだ英語表現を使って英作文[書く]ができるし、聞きとることができれば、それを紙に書き下ろし、それを[読む]ことができれば、文章の意味を理解できる。[話す]ことは[英作文]と同じことで、言ってみれば、[瞬間英作文]である。要するに[読む力]が全ての原動力になるのだ。

 他方、[読む力]が無ければ、あとの三つは伸びない。読んで理解出来ないことは聞いても理解できない。英語のCDを何度も聞いているとある日突然、理解出来るようになるというのは誇大広告である。いやむしろ「詐欺」に近い。

 たくさんの受験生(約50万人)が受ける試験の段階では、[読む力]に重点を置くことには合理性がある。現行のセンター試験でも[読む力]に重点が置かれているが、それに加えて[聞く力]も既にリスニング試験の形で組み込まれている。一昨年、私自身センター試験の監督をしたのでよく知っている。リスニング試験は機材の点検に気を使わねばならず大変である。よく実施しているなあと感心したものだ。

 これらに加えて新たな共通テストで[話す力]と[書く力]まで試験を行う[あるいは英語民間試験を活用することにより同様の効果を狙う]ことになっている。これは質の良い採点者(学生アルバイトでは困るのである)の確保、受験機会の公平性の維持の難しさを考えると実際上、実施不可能と言わざるを得ない。そもそも最初から愚策であったのだ。


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