古賀茂明「日産社長人事に経産省が口出しする危険性」

政官財の罪と罰

古賀茂明

2019/09/17 07:00

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など
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辞任表明した日産社長の西川広人氏(c)朝日新聞社
辞任表明した日産社長の西川広人氏(c)朝日新聞社

 日産自動車の西川広人社長が辞任を表明した。前会長のカルロス・ゴーン被告による数々の不正や業績悪化の責任に加え、最近になって、西川氏も実は不当に高い報酬を得ていたことが発覚し、これらの責任を問われて、事実上のクビになったわけだ。

【写真】辞任表明した日産社長の西川広人氏

 私が得た内部情報では、9日の取締役会直前まで、西川氏は続投で行けると読んでいたようだが、そんな判断に傾いた背景にあるのが、豊田正和氏の存在だ。

 日産の社外取締役で、次期社長候補を決める「指名委員会」の委員長である同氏は、元「経済産業審議官」(事務方では次官に次ぐナンバー2)で、経産省の元エリート官僚だ。

 豊田氏の本業は、一般財団法人「日本エネルギー経済研究所」の理事長。経産省の重要天下りポストの一つだ。豊田氏は、当然ながら、経産省の意向で動くが、ルノーとの対立や数々の不祥事を抱えた日産は、経産省の名代である豊田氏を頼らざるを得ない。さらに、指名委のトップになったことで同氏の立場は非常に強いものになった。

 その豊田氏を頼ったのが、西川氏だ。豊田氏もこれに応え、今回の取締役会でも西川氏続投論を唱えた。しかし、豊田氏は、なぜ西川氏続投を狙ったのか。

 私は、日産に経産省の息がかかった外部人材を社長として連れてくるための時間稼ぎに、西川氏が利用されたとみている。

 外部人材登用論は、世耕弘成前経産相やそれとつながる一部の社外取締役らが推進していたという情報がある。その最有力候補が、大手企業S社のN社長だ。仮にN氏を日産の社長に迎えるとすれば、S社の後任探しなども含めて時間が必要だ。今回の取締役会で、豊田氏が、社長交代時期を先延ばししようとしたのはそのためではないのか。

 ところで、次の日産社長には次の四つが求められる。(1)どん底にある日産の業績回復、(2)ルノーとのアライアンス再構築、(3)EV、自動運転を含む大変革に対応するための世界企業との戦略的提携、(4)社内の現場、サプライヤー、ディーラーとの信頼関係の再構築。どれも、日産復活には、必達の課題だ。

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