ミッツ・マングローブ「聖子節・明菜節・フミヤ節の近況」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ミッツ・マングローブ「聖子節・明菜節・フミヤ節の近況」

連載「アイドルを性せ!」

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ミッツ・マングローブ週刊朝日#ミッツ・マングローブ
ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

※写真はイメージです (Getty Images)

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熱視線

ミッツ・マングローブ

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 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、歌手の歌い方について考察した。

*  *  *
 自分の歌が「○○節」と呼ばれるようになったら歌手としては「勝ち」です。楽曲の良さはもちろんのこと、歌唱力、生まれ持った声質、さらにはルックスやファッションなど、売れる要素は様々ですが、何よりも「節回し」や「発声法」といった歌い手の「癖=性(さが)」が世間にどう響くかが大きな鍵ではないでしょうか。

 たとえば松田聖子さん。聖子さんと言えば、♪あぁーわたーッしーのォッこーいはー♪に代表される「しゃくり上げ唱法」が有名ですが、それ以外にも「る」を「どぅ」と発音するという超画期的な唱法を産み出し、「聖子節」を確立しました。間もなくデビュー40年。今や「る」を「どぅ」と発音するのは、聖子さんだけに許された特権です。

 そして80年代アイドルとともに進化を遂げたのが「過剰なビブラート」。その立役者は言わずもがな中森明菜さんです。サビのロングトーンをありったけの声量で波立たせ、聴く者・観る者をねじ伏せる。明菜さんの曲は「あ」もしくは「え」の母音で終わる歌詞が多いというのはファンの間ではよく知られたことです。この「明菜節(ビブラート)」は本田美奈子さんや工藤静香さんなどにも受け継がれ、90年代には華原朋美さん、最終的にはお浜さんこと浜崎あゆみさんの代名詞にまで進化を遂げた結果、現在も二丁目におけるカラオケ唱法の王道として重宝されています。

 一方、男性歌手では聖子・明菜よりも早く、西城秀樹さんが「しゃくり&ビブラート唱法」でスターとなった70年代前半。やがてツイストの世良公則さんを経て、80年代中盤には吉川晃司さんへと伝承され、その隆盛を極めます。奇しくもお三方とも広島県出身です。ちなみにこの唱法は、平成以降も河村隆一さんやGACKTさんといったロック系歌手に多大な影響を与えました。

 さらにもうひとり忘れてならない存在が。藤井フミヤさんです。あの癖があるような、ないような「フミヤ節」こそ、90年代日本男子の歌唱力を底上げしたと言っても過言ではありません。当時の黒服やホストの発声法は、フミヤ7割の吉川2割、そして尾崎豊1割でした。同時期・同系譜ではカールスモーキー石井さん、そしてB’zの稲葉浩志さんも「フミヤ節」の進化形だと捉えています。


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