●エド・シーラン『No.6 コラボレーションズ・プロジェクト』 ワーナー WPCR-18252
●エド・シーラン『No.6 コラボレーションズ・プロジェクト』 ワーナー WPCR-18252

 今年、4度目の来日で念願だったという東京、大阪でのドーム公演を成功させたシンガー・ソングライターのエド・シーラン。ベスト・セラー・アルバム『÷(ディバイド)』をひっさげ、ワールド・ツアーの一環だった。その最中に制作に取り組んでいたのが最新作『No.6 コラボレーションズ・プロジェクト』だ。

 4枚目のオリジナル・アルバムで、収録された全15曲すべてがコラボ曲。有名どころの名前がずらりと並んでいる。

 エドは1991年、英国イングランドの出身。4歳の頃から聖歌隊で歌い始め、ヴァン・モリソン、ジョニ・ミッチェル、ザ・ビートルズ、エルトン・ジョンにも親しんでいた。

 ギターを始めたきっかけは、父親に連れられて見たコンサートでエリック・クラプトンに魅せられたこと。「レイラ」のギター・リフを必死にコピーしたという話がほほえましい。やがてロンドンに進出し、ソウル/ヒップ・ホップへ関心を抱き、ラッパーとの交流を重ねた。

 その成果は後にEP『No.5 Collaborations Project』として発表され、メジャー・デビューへのきっかけともなり、今回のコラボ・アルバム『No.6 ~』の誕生にもつながる。

 音楽性の変化、幅広い展開について、もともとジャンルへのこだわりがなく、楽しい曲であれ、悲しい曲であれ、“自分が感じるもの”“心に伝わってくるかどうか”“僕の感情に触れるかどうか”が基準だと語っている。

 それにしても、『No.6 コラボレーションズ・プロジェクト』では豪華な顔ぶれとの共演を実現させた。お騒がせ男として話題のジャスティン・ビーバーとの「アイ・ドント・ケア」が先行シングルとして発表されたのは、その顔合わせからも納得がいく。

 豪華なパーティーにカジュアルな装いで出席したエド自身の体験をもとにした曲で、気乗りせず居場所のなさにうんざりしていたところで出会った彼女。“彼女と一緒ならつらい夜でも耐えられる”と歌う。

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小倉エージ

小倉エージ

小倉エージ(おぐら・えーじ)/1946年、神戸市生まれ。音楽評論家。洋邦問わずポピュラーミュージックに詳しい。69年URCレコードに勤務。音楽雑誌「ニュー・ミュージック・マガジン(現・ミュージックマガジン)」の創刊にも携わった。文化庁の芸術祭、芸術選奨の審査員を担当

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