広瀬隆「北朝鮮とどのように付き合うべきか」 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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広瀬隆「北朝鮮とどのように付き合うべきか」

連載「テレビ報道の深刻な事態」

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広瀬隆週刊朝日
広瀬隆(ひろせ・たかし)/1943年、東京生まれ。作家。早稲田大学理工学部卒。大手メーカーの技術者を経て執筆活動に入る。『東京に原発を!』『危険な話』『原子炉時限爆弾』『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』『第二のフクシマ、日本滅亡』などで一貫して原子力発電の危険性を訴え続けている。『赤い楯―ロスチャイルドの謎』『二酸化炭素温暖化説の崩壊』『文明開化は長崎から』『カストロとゲバラ』など多分野にわたる著書多数。

広瀬隆(ひろせ・たかし)/1943年、東京生まれ。作家。早稲田大学理工学部卒。大手メーカーの技術者を経て執筆活動に入る。『東京に原発を!』『危険な話』『原子炉時限爆弾』『FUKUSHIMA 福島原発メルトダウン』『第二のフクシマ、日本滅亡』などで一貫して原子力発電の危険性を訴え続けている。『赤い楯―ロスチャイルドの謎』『二酸化炭素温暖化説の崩壊』『文明開化は長崎から』『カストロとゲバラ』など多分野にわたる著書多数。

1983年、北朝鮮との軍事境界線の南側で警備中の韓国陸軍の兵士=(C)朝日新聞社

1983年、北朝鮮との軍事境界線の南側で警備中の韓国陸軍の兵士=(C)朝日新聞社

南北境界の板門店で6月30日、金正恩朝鮮労働党委員長(右)と歩くトランプ米大統領(gettyimages)。軍事境界線の北朝鮮側から韓国側へわたった

南北境界の板門店で6月30日、金正恩朝鮮労働党委員長(右)と歩くトランプ米大統領(gettyimages)。軍事境界線の北朝鮮側から韓国側へわたった


 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、昨年の南北首脳会談で謳(うた)った「核なき朝鮮半島」とは、北朝鮮とアメリカの両国が共に核兵器を放棄することだったのである。日本のテレビ報道界が常識として考えている「北朝鮮は核兵器を放棄しなければならないが、アメリカは核兵器を持つ権利がある」という話は、幽霊屋敷ほどにも奇々怪々な理屈であって、誰が考えても通らないストーリーである。したがって、北朝鮮だけは核兵器を放棄せよ、という軍事的な選択肢は、現在でもあろうはずがないのである。

 まずここに、人間の常識を欠く日本のテレビコメンテイターが勘違いしている非核化と、南北朝鮮の首脳が謳った非核化が、まったく違う意味のものであることを、テレビ報道界は肝に銘じて、アメリカの非核化を平等に俎上(そじょう)に載せなければならない。

 そう考えれば、誰でもアメリカの軍需産業が核兵器を放棄するはずがないことに思い至り、ならば北朝鮮も核兵器を放棄しないことを知るはずである。1945年に広島・長崎に原爆が投下されて以来、政治体制が変わった南アフリカ共和国のような国を例外として、「核保有国は核兵器を手放さない」という不文律が、人類の認めてきた常識であるなら、その現実を認識して議論することのほうが人類にとって重要なのである。

 そうした状況の中で、実は、北朝鮮の3代にわたる首脳の金日成(キム・イルソン)→息子・金正日(キム・ジョンイル)→孫・金正恩は、東西冷戦時代のある時期から、独善的な共産主義国家・ソ連が本心では好きではなくなり、北朝鮮の後ろ楯となってきたモスクワのクレムリンを信用しなくなった。そのため裏では、「北朝鮮の存続にとって重要なのはアメリカである」という政治戦略をもって、いかにしてアメリカを味方につけるかという独自の政策を進めてきた、と言われているのである。

 その北朝鮮がことあるごとに「ソウルを火の海にしてやる」と叫んできた言葉は、韓国の首都ソウルに人口が集中し、南北国境のすぐ近くにあるので、脅しではなく半ば本気であった。ところが、その北朝鮮軍部にとって“最大の軍事作戦”は、ソウル攻撃ではなかった。北朝鮮に向けて核ミサイルを配備してきたアメリカに対抗して、北朝鮮も原水爆を保有し、合衆国本土に到達する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発することにあったのだ。したがって、北朝鮮にとっては日本も眼中にない。ミサイル発射実験でミサイルが日本の上空を横断しても、北朝鮮の標的は日本ではなくアメリカ本土なので、日本人はまったく心配する必要はない。日本がそれで空騒ぎするのは、安倍晋三らの軍国主義一派が日本を軍事国家に変える口実に北朝鮮を悪用し、事情を知らないテレビ報道界が騒ぐからである。


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