田原総一朗「企業不正と安倍政権に共通の“空気を破れない”悪癖」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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田原総一朗「企業不正と安倍政権に共通の“空気を破れない”悪癖」

連載「ギロン堂」

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田原総一朗週刊朝日#田原総一朗
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

(イラスト/ウノ・カマキリ)

(イラスト/ウノ・カマキリ)

 ジャーナリストの田原総一朗氏は、日本を代表する大手企業の不正が立て続けに明るみに出る背景について、日本企業特有の体質に注目する。

*  *  *
 このところ、企業の不正問題が相次いでいる。

 最近でも、油圧機器メーカーKYBと子会社による、免震・制振装置の検査データ改ざん問題が明るみに出た。耐震のための装置であるはずが、国の認定などに適合しない免震装置を出荷していたのである。国の基準、あるいは顧客との契約に適合しない疑いのある装置は987物件に上る。しかも、これらをすべて交換するには、約2年もの時間を要するという。非常に大きな問題である。

 不正を行った企業を振り返ると、東芝、三菱マテリアル、東レ、日産自動車、神戸製鋼所など、枚挙にいとまがない。中でも最も注目されたのは、2015年に発覚した東芝の決算問題である。これが悪質であることは、内部の社員、役員であれば、すぐにわかったはずである。にもかかわらず、誰も粉飾決算であることを指摘しなかった。これをチェックするのが役割である監査法人も、7年間まったくチェックしなかった。チェックすれば契約を打ち切られるからなのだろう。さらに、ライブドアの社長だった堀江貴文氏は1度の粉飾決算で、2年6カ月の実刑を受けたのに、東芝の社長たちは誰一人逮捕されなかった。警察、検察もなれ合っていたのである。そして、どの新聞、テレビも、粉飾決算とは報じず、不適切会計と報じた。マスメディアもなれ合っていたのである。なお、私は「激論!クロスファイア」というテレビ番組で、粉飾決算だと言い切った。

 なぜ、日本企業にこんなにも不正が多発するのか。伊藤忠商事の会長だった丹羽宇一郎氏が、私に次のように語った。“日本企業はポジティブルールで動いている”のだという。

 これはどういうことか。たとえば、英国やフランスの軍隊は“ネガティブルール”を採用している。“やってはいけない”ことだけを定め、それさえ守れば自由に活動できる。ところが、日本の自衛隊は“ポジティブルール”で、“これはやってもよい”と許可されたこと以外は絶対にやってはいけないのである。これでは戦えないのだが、自衛隊だけでなく、日本企業はいずれも“ポジティブルール”で、経営者から許可されたこと以外は言ってはならない。もし言えば左遷されてしまう。だから不正が相次ぐのだということになる。


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