大塚久美子社長 (c)朝日新聞社
大塚久美子社長 (c)朝日新聞社

 大塚家具が存亡の危機に立たされている。2018年12月期の業績見通しを黒字予想から一転して、下方修正。8月7日、純損益が34億円の赤字になると発表した。前期も72億円の赤字で、これで3年連続の赤字に陥ることになる。

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 大塚家具関係者が嘆息しながら語る。

「17年12月期決算を発表した今年2月の会見で、大塚久美子社長は自信たっぷり、強気の姿勢でした。自分が敷いたリニューアル路線がようやく軌道に乗ると信じていた。ホテルなど法人向け販売やインターネット通販に力を入れ、経費削減も進めている。自らの手で、18年12月期から黒字転換してみせると意気込んでいました」

 蓋を開けてみれば、売上高は従来予想を17・6%も下回る376億円で、2億円の黒字を見込んでいた営業損益も51億円という大幅な赤字見込みとなった。

 業績悪化で、15年12月まで109億円あった現預金をすっかり食い潰してしまい、18年3月末時点で10億円にまで減少している。まさにジリ貧状態である。

「特に大型店の売上が落ちたことが響いたのですが、不採算店の閉鎖や、コスト削減のための売り場面積の縮小などは業績予想に織り込み済みだったはずです。久美子社長は見通しの甘さを指摘されても仕方ありません」(同前)

 もはや自主再建は困難。だが、身売り交渉も難航しているようだ。身売り先候補に挙がっていた家電量販大手のヨドバシカメラは、買収をあっさり否定した。朝日新聞の取材に対して「買うだけの魅力がない」「うちから欲しいと言うことは絶対にない」と言い切ったのだ。

 頼みの綱は、貸し会議室大手のティーケーピー(TKP)だ。大塚家具は店舗内の余剰スペースをTKPに貸し出し、昨年11月に資本・業務提携。約6%(10億円余)の出資を仰いだ。しかし追加出資と引き換えに、久美子氏は退任を迫られる可能性があるが、応じられるかどうか。

 ただ、東京商工リサーチよれば、大塚家具が「延命策」を取る可能性も出てきたという。情報部の後藤賢治課長が解説する。

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無借金経営で知られる大塚家具だったが…