田久保忠衛(たくぼ・ただえ)/1933年生まれ。時事通信社ワシントン支局長、外信部長などを歴任後、杏林大学教授、名誉教授。専門は国際政治学、米国外交。2015年4月から日本会議会長
田久保忠衛(たくぼ・ただえ)/1933年生まれ。時事通信社ワシントン支局長、外信部長などを歴任後、杏林大学教授、名誉教授。専門は国際政治学、米国外交。2015年4月から日本会議会長

 血税635億円もかけた衆院選自民党が283議席(追加公認含む)と大勝、公明党とあわせて全議席の3分の2を上回る勢力となり、憲法改正の発議が可能となった与党。日本最大の右派組織「日本会議」の田久保忠衛会長は、安倍自民の改憲案を「生ぬるい」と迫る。

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 総選挙の結果を総括すると、国民が本能的に賢い選択をしたのでないかと思う。北朝鮮有事に対する安倍晋三首相の危機感に反応した結果だ。野党は森友・加計疑惑を批判したが、レベルや次元が違う話に過ぎない。それなのに、安倍首相は腰の引けたところがあった。北朝鮮は核・ミサイル実験をやめない。極東だけでなく世界の平和を乱し重大な局面に立っていることをもっと強く打ち出してもよかった。

 悲願の憲法改正についても、9条加憲という欺瞞で生ぬるいものでいいのか?2項で戦力を否定しているのに3項に自衛隊の存在を明記しても理屈がつかない。希望の小池百合子代表がそこでパンチで繰り出していれば、本物の小池ブームが起こったと思うよ。安倍政権には左からでなく、右からのパンチの方が効くんです。それが分かっていないのが致命的だった。

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