小池百合子 (c)朝日新聞社
小池百合子 (c)朝日新聞社

 石原慎太郎氏の発言に注目が集まった東京都議会の百条委員会だったが、肩すかし感はぬぐえない。

「3連休中でしたからね。いま一つ盛り上がりに欠けたと思います」

 とは、都庁関係者。

 質問時間は都議会自民党が21分、共産党が9分などと短く、石原氏は「記憶にない」を連発。小池百合子都知事は「無責任だった」として法的措置の検討を示唆したが、自民党都連の幹部はこう言う。

「責任のターゲットを石原さんに置いてきた小池さんのもくろみはズレ始めましたね。来月以降は豊洲市場への50億円の損失補償を出すわけです。騒ぎが大きくなっていくと思いますよ」

 一方、百条委委員の共産党の曽根はじめ都議は、

「東京ガスから段ボール50箱分の資料が届きました。都の資料と合わせると90箱分にも上ります。これは百条委が要求したからできたことです」

 と、意義を語る。

「そこから重要な資料を見つけました。都の土壌汚染対策が膨らんだ原因とされる東京ガスとの間の密約『2者間合意』(2001年7月18日)の文書や豊洲市場予定地の評価額を都の職員が事前に売り主の東京ガスに流していたというメールの記録です」

 小池知事は、移転か中止かの判断を「地下水のモニタリングの結果次第」としてきたが、3月19日公表の調査結果で、ベンゼンが環境基準の100倍、ヒ素が3.6倍と高濃度の土壌汚染が残ることを示す結果が出た。小池知事は3月24日、移転の可否を検討する「市場のあり方戦略本部」の立ちあげを表明し、自身の決断を弱めた。だが、

「地下水は使わないから安全なわけです。それを言ったら築地市場も汚れている。都民投票で決める話も出ているが、それはお門違いです。豊洲移転を早く決めていただきたい」(前出の自民都連幹部)

「今なら築地市場の現地建て替えは可能だと思います。できるだけ早期に、小池知事は移転の中止を決断していただきたい」(前出の曽根都議)

 小池知事は落としどころが難しい。

週刊朝日 2017年4月7日号