「チーム大谷」の人選は慎重に! 大谷翔平メジャー移籍に東尾修が助言 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「チーム大谷」の人選は慎重に! 大谷翔平メジャー移籍に東尾修が助言

連載「ときどきビーンボール」

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週刊朝日#東尾修
2億7千万円(推定)で契約更改を終え、会見する日ハムの大谷翔平=12月5日 (c)朝日新聞社

2億7千万円(推定)で契約更改を終え、会見する日ハムの大谷翔平=12月5日 (c)朝日新聞社

 日本ハムが大谷翔平のポスティングシステムによるメジャー移籍を容認する方針を表明した。大谷が望めば、早ければ2017年オフにもメジャー移籍が可能となった。この時期の表明に対する賛否は当然あると思う。私は大谷が野球に集中するためにも、そして純粋に野球に打ち込む大谷のイメージを大切にするためにも、良かったと思う。

 まず、準備という点。代理人の選定、そしてメジャー移籍の際の通訳、トレーナーといったいわゆる「チーム大谷」をつくる上で、水面下で隠れて行う必要がなくなるよね。球団も公認下であるなら、公然と準備をしていけばいい。特に代理人もそうだが、通訳、トレーナーといった存在は、未婚の大谷にとっては家族のような存在になる。慎重に人選しなければいけない。マスコミのグラウンド外の取材攻勢もシーズンが終わるまでは正常に行われるはずだ。

 大谷は投手と野手の両方をこなす上で、ほかの選手の何倍もの時間を野球に費やしている。純粋でなければできないことだ。その純粋な部分、そして、日本球界にとどまらない才能を日本ハムは大事にしたのだと思う。球団としては、日本のシステムの中で育ち、メジャー移籍をするという入団時の約束を果たす。公にしたことは個人的に好感が持てる。

 では、ポスティングシステムの譲渡金上限の2千万ドル(約22億8千万円)は引き上げられるのか。私は厳しいと考える。1兆円ビジネスを展開するメジャーリーグ。しかも、毎年のように世界の才能が集まり、新たなスターも続々と出てくる。交渉権だけのために、20億円以上を払うことに違和感を覚えるメジャー幹部は多いだろう。大谷の才能は高く評価していても、彼に依存する状況にメジャーリーグはない。

 だから、日本の球団がもし、譲渡金の上限引き上げを求めたいと思っても、交渉は難しいものになるだろうね。「それだったらポスティングシステム自体をやめましょう」とメジャーから言われてしまうだろう。日本側も慎重に議論を進めないといけないよね。

 もう一つの要素もある。メジャーリーグ機構と選手会の労使協定で、国際選手の獲得に際し、25歳未満の選手までチームの契約総額の上限を約6億8千万円と決めたことだ。従来も23歳未満の選手にあったが、年齢が引き上げられ、大谷が対象内に入ってしまった。来年オフに移籍が決まれば、大谷が手にできるメジャー1年目の「収入」は、最大でも6億8千万円しか入らないことになる。同じ現行のポスティングシステムでヤンキース入りした田中の1年目の年俸は20億円を超えた。不公平に感じるよね。

 メジャーのドラフト対象外の、いわゆる国際選手獲得に関して、一定のルールを設けることは理解できる。無秩序となり、資金力のある球団が才能を買いあさることにつながるからだ。戦力均衡という点でもよろしくない。だが、日本の選手は日米間の協定で、海外FAやポスティングシステムといった移籍のプロセスがしっかりと定められている。キューバの選手などと同じく、一律で適用されるのは納得がいかない部分がある。

 刻々と変わりゆく制度の中で、大谷はどう決断するのか。メジャーで野球がしたいとの純粋な気持ちは揺るがないとは思うが。

週刊朝日  2016年12月23日号


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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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