ギリシャ美術でわかる オリンピックをより楽しむためのトリビア10 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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ギリシャ美術でわかる オリンピックをより楽しむためのトリビア10

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青年像/前4~前3世紀。アテネ、水中考古学監督局/キュクラデス諸島のキュトノス島沖、水深500メートルで発見された「英雄的裸体像」
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

青年像/前4~前3世紀。アテネ、水中考古学監督局/キュクラデス諸島のキュトノス島沖、水深500メートルで発見された「英雄的裸体像」 (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ステファノスの墓碑/前380~前370年/アテネ国立考古学博物館/左手にストレンギスとアリュバロスを持っている
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ステファノスの墓碑/前380~前370年/アテネ国立考古学博物館/左手にストレンギスとアリュバロスを持っている (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

フォキス人ステファノスの墓碑 垢を掻く競技者/前350~前330年。ピレウス考古学博物館。ストレンギスで左脇の汚れを掻き落としている
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

フォキス人ステファノスの墓碑 垢を掻く競技者/前350~前330年。ピレウス考古学博物館。ストレンギスで左脇の汚れを掻き落としている (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ストレンギス(垢掻きヘラ)/2~4世紀/オリンピア、オリンピック歴史博物館/肌の油や、体に付着した砂やほこりを掻き落とすために用いた
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ストレンギス(垢掻きヘラ)/2~4世紀/オリンピア、オリンピック歴史博物館/肌の油や、体に付着した砂やほこりを掻き落とすために用いた (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

アリュバロス/前7世紀/オリンピア、オリンピック歴史博物館/肌に塗る香油を入れるための小型壺
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

アリュバロス/前7世紀/オリンピア、オリンピック歴史博物館/肌に塗る香油を入れるための小型壺 (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

アッティカ赤像式アラバストロン 円盤投げと幅跳び/前500~前475年/アテネ考古学監督局/両手にハルテレスを持った幅跳びの選手
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

アッティカ赤像式アラバストロン 円盤投げと幅跳び/前500~前475年/アテネ考古学監督局/両手にハルテレスを持った幅跳びの選手 (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ハルテレス/前5世紀/オリンピア、オリンピック歴史博物館/珪岩でつくられた幅跳びのための重り
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ハルテレス/前5世紀/オリンピア、オリンピック歴史博物館/珪岩でつくられた幅跳びのための重り (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ハルテレス/前500~前450年/ポリュギュロス考古学博物館/幅跳びで跳躍の勢いをつけるための鉛の重り
(c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

ハルテレス/前500~前450年/ポリュギュロス考古学博物館/幅跳びで跳躍の勢いをつけるための鉛の重り (c)The Hellenic Ministry of Culture and Sports- Archaeological Receipts Fund

 4年に一度のスポーツの祭典・オリンピック。1896年にギリシャのアテネで始まり、まもなく第31回のリオデジャネイロ大会を迎えようとしている。その起源は、紀元前に古代ギリシャで行われていたオリンピア競技祭にあることはよく知られている。東京国立博物館で開催中の特別展「古代ギリシャ―時空を超えた旅―」に展示されている美術品には、オリンピックの起源が隠されていた? 東北大学大学院准教授の芳賀京子先生に、オリンピックトリビア10を教えてもらった。

【古代ギリシャ展、美術品の写真はこちら】

*  *  *
【トリビア1】オリンピックはいつ、誰が始めた?

 オリンピックの創始者として知られる最も有名な人物は、英雄ペロプス。オリンピア地方のピサの王オイノマオスと戦車競走を行い、勝者となったペロプスが、主神ゼウスに感謝するために競技会を開いた――と、ギリシャ神話では語られている。「古代ギリシャでは、神話と現実の歴史とは地続きのものであり、あまり区別されていませんでした。だから、オリンピックが行われていたオリンピアの神域には「ペロピオン」と呼ばれる、ペロプスのお墓があるのです。選手たちは短距離走で、そのお墓のある方向へと走っていました。ギリシャの人々にとって、ペロプス信仰は、とても重要なものだったんですよ」
 現実には、この神話に基づき、エリス王イフィトスが「長らく人々に忘れられていた」オリンピア競技祭を、前8世紀に「再興」したと言われている。
競技祭はローマ時代も続けられていたが、キリスト教が国教化されて異教の祭祀が禁じられた393年、第293回1169年間に歴史に終わりを告げた。

【トリビア2】当初の種目は短距離走のみ

 前776年に開催されたと考えられている最初の競技祭における種目は、スタディオン走(約190メートルの短距離走)のみ。第13回まではこれが唯一の競技種目で、開催日も1日だけだった。

【トリビア3】音楽や使者の大声も競技種目だった?

 5種競技(円盤投げ、槍投げ、幅跳び、スタディオン走、レスリングまたはボクシング)、パンクラティオン(総合格闘技)、競馬、戦車競走、はては使者の大声競争やラッパ手競争――前724年の第14回からディアウロス走(中距離走)が導入されて以降、全盛期の前4世紀頃には競技は18種目にのぼり、5日間をかけて行われるようになった。「採用される種目が、そのときどきによって変わるのも現代と同じでした。ローマの暴君として知られるネロなんて、自分の得意とする音楽部門も種目に加えてしまったんですよ(笑)。ちなみに、当時の幅跳びは、ハルテレスと呼ばれる重りを手に持って行うのが一般的でした。そのほうが距離が出ると信じていたのでしょうが、さぞ重かっただろうなと思います」

【トリビア4】オリンピックは男だけの世界

 競技の参加者はギリシャ人の男性のみ。女性、奴隷、非ギリシャ人の参加は認められていなかった。さらに、女性は観戦さえ許されなかったという。当時のギリシャ女性は基本的に家から出ることはなかったそうだが、「女性がオリンピアの競技場に入り込んで大騒ぎになったという文献が残っているんですよ」

【トリビア5】競技のほとんどは全裸で行われた

 古代ギリシャの人々は、普段はキトンやヒマティオンと呼ばれる衣服を身にまとっていたが、オリンピック競技は基本的に全裸で行われていた。「美は善である」がモットーの彼らにとって、肉体美も重要な要素だったのかもしれない。「ただし、戦車競走など馬絡みの競技は危ないので服を着て行なっていました」

【トリビア6】優勝すると、一生食うに困らなかった

 競技祭から優勝者に与えられるものは、コティノスと呼ばれる野生のオリーブの枝で作られた葉冠だけ。だが、ひとたび国に帰れば食べるに困らない生活ができたところは、現代と同じ。「プリュタネイオン(迎賓館)で生涯ごちそうしてもらえるなど、文字通り、一生食べるのに困らない生活が約束されていた国もありました。また、のちに政治家として成功している優勝者もいますね。美しくて弁舌が立つことが、政治家としての能力につながった古代ギリシャにおいては、身体の美しさを誇る優勝者は非常に有利だったと思います」
また、オリンピックで優勝するということは、特別に神様に愛される存在だと見なされること。「優勝者は、普通の人間とは違う、別格の存在として、オリンピアの神域にブロンズの彫像を奉納することが許されました。これは古代ギリシャにおいて、最高の名誉。アルカイック時代やクラシック時代には、人間の銅像が生前につくられることは、有名な政治家でもほとんどなかったのです」
ブロンズは金銭的価値が高く、再利用できるので、銅像はほとんどが鋳つぶされてしまっている。「青年像」は、海の底から見つかったため、奇跡的に現代に残されたもののひとつだ。「顔も右手足も失われてしまっていますが、全裸であることや、筋骨たくましい体からして、運動を嗜む競技者――もしかしたら優勝者の銅像だったのでしょう。残された右腕や左手のかたちから、円盤投げの像ではないかとも考えられています」

【トリビア7】オリンピック開催中は参加国すべてが休戦した


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