福島第一原発前に造られた、まだ仮設のままの防潮堤(東京電力提供) (c)朝日新聞社 @@写禁
福島第一原発前に造られた、まだ仮設のままの防潮堤(東京電力提供) (c)朝日新聞社 @@写禁

 原発事故から4年半、福島県では昨年の田村市、川内村の一部に続き、9月に楢葉町で避難指示が解除された。政府は2017年までに居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示を解除する方針だ。着々と帰還政策を進める政府に対し、地元からは多くの疑問の声が上がっている。

 福島県郡山市に住む「子ども脱被ばく裁判の会」の武本泰事務局長は怒りを込めてこう語った。

「除染で出た膨大な放射能汚染ゴミは野ざらしにされ、この前の大雨では周辺を汚染しました。そもそも除染されているのはほんの一部で、放置された山林の放射性物質は雨や風により周囲を汚染し続けている。その状況で帰還を進めるのは後々大きな問題を引き起こすでしょう。福島第一原発で今度何か起きたら、帰還させられた住民は再び甚大な被害を受けてしまう」

 福島第一原発が立地する大町に自宅がある木幡ますみさん(59)は、今も会津の仮設住宅で避難生活を余儀なくされている。

「まだまだ原発がどうなるのかわからないのだから、危なくて帰れないでしょう。福島第一原発で働いている方々は、自分は仕方ないが家族には原発の近くには住んでほしくはないという気持ちは強いです。自分たちは壊れた原発の大変さを知っているからです」

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