テレビ番組にも一緒に登場することの多い、映画コメンテーターの有村昆さんとフリーキャスター丸岡いずみさん夫妻。「いずみん」「昆ちゃん」と呼び合う二人が求める夫婦像は「ベストじゃなくても、オンリーワンな絆」なのだという。

*  *  *

夫:僕ら夫婦を映画に例えると……「釣りバカ日誌」かなって思います。ハマちゃんこと浜崎伝助と、妻のみち子さん。プロポーズも「僕はあなたを幸せにする自信はないけれど、僕が幸せになる自信はあります。結婚してください」って、ハマちゃんの台詞で言いました。

妻:それでOKはしましたけど、映画の台詞なんだよって言われても何のことやらさっぱり……。後から解説してもらいましたけど(笑)。

夫:ハマちゃんの言葉には、こんなのもあるんです。「海の中を見てごらん、ヒラメや鯛や熱帯魚もいる。いろんな魚がいるから面白い。会社だってそう、いろんな人間がいるから面白い。だから僕みたいな人間も必要なんだ」と。僕も人から見れば変わってるんだろうけど、社会には僕みたいなのがいてもいいじゃないか。そんな考え方をわかってくれるのがみち子さん。そんな夫婦でいられたらいいな、って思いますね。

妻:私の病気のことも「うつ病だって個性でしょ」って言ってくれたんです。

夫:もちろん、病気にならないに越したことはないんですけどね。でも、たまたま、好きになった人がうつ病になってしまった。だったら、みんなでサポートすればいいじゃない、と。それにね、不謹慎に聞こえるかもしれないけど、困難のない人生よりよっぽどドラマチックだと思う。僕の人生かけて、一緒に乗り越えていきたい、挑戦のしがいがあると思うんです。

妻:私も、病気にならなければ、こんなにじっくり、結婚について考えなかったかもしれません。独身のころはとにかく仕事に夢中でしたから。それに、薬嫌いで病気を長引かせたことも、つらかったけれど、結果的には良かったのかも。薬を飲んですぐに治っていたら、結婚なんて考えもせずに、さっさと仕事に復帰していたでしょうから。

夫:彼女が映画のこと、全然わからなくたって、それでいい。むしろ、詳しい者同士だったら、ぶつかるでしょうね。彼女は彼女の世界、僕は僕の世界、それでいいじゃん、と。

妻:まぁ、何の相談もなしに、いきなりデロリアンだなんて、高価で突拍子もないものを買ったりして、驚かされますけどね。でも、彼がものすごく嬉しそうで、目がキラキラしてたから、まぁいいか、と。

週刊朝日 2015年6月12日号より抜粋