ドラマや映画では、シリアスからコメディーまでこなし、そのどれもがハマり役と注目される尾野真千子。しかし、作家・林真理子との対談では「舞台には興味がない」と言い切る。その理由とは。
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林:それにしても、尾野さんの私生活ってぜんぜんわからないですよ。
尾野:アハハハ。遊ぶときは遊んでますし、飲むときは飲んでますし。
林:お仕事のほうは、もう次の作品が始まってるんですか。
尾野:そうですね。いままでやってたのが落ち着いて、これから次の作品に。
林:いまはセリフを覚えたり、資料を読んだり?
尾野:基本、あんまりしないです。怒られちゃいますけどね(笑)。あんまり考えないというか、ある程度読んだら温めます。べつに何もせずに。
林:セリフ覚え、早いんですか。
尾野:遅いし、覚えるの嫌いですね。小さいときから覚えるの嫌いで、社会科とかすごくいやで、だから子どものころを知ってる人たちには不思議がられてます。「セリフなんか覚えられるのか?」って。
林:セリフって膨大な量だし、長ゼリフだってあるし。
尾野:だからミスもしますね。でも、好きなことだから乗り越えられるんでしょうね。芝居をやるにはセリフを覚えないとどうしようもないので。無理やり覚えるんですけど、自分の中にセリフが固まって入ってくるとだんだんおもしろくなってくるんです。次はどんな自分を見られるのか、私もわからないんで。だんだんとつくりあげられていく自分の次の女性像が、おもしろいんです。
林:セリフ覚えるの苦手だと、舞台のとき困っちゃいません?
尾野:舞台はやらないというか、いまはあんまり興味がないんです。見るのは好きなんですけど。「映画をやりたい」と言って東京に出てきて、まだ映画女優としても確立していない中途半端なときだし、映画女優としてステップアップできたと思えてからでも、遅くないと思ってるんです。
林:でも、女優さんってある程度映画をやると、みんな舞台をやりたくなるみたいですよ。
尾野:なんででしょうね。映画とドラマも違うし、舞台なんてまったくぜんぜん違うと思うんです。勉強にはなるんでしょうけど、私はそういう勉強の仕方ではないので、いまのところ舞台はないですね。
※週刊朝日 2015年1月16日号より抜粋