韓国・旅客船沈没事故 明暗分ける自力脱出の覚悟 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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韓国・旅客船沈没事故 明暗分ける自力脱出の覚悟

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横転した旅客船「セウォル号」。急旋回が原因とも指摘される。入社4カ月、20代の3等航海士が進路変更を指示していた (c)朝日新聞社 

横転した旅客船「セウォル号」。急旋回が原因とも指摘される。入社4カ月、20代の3等航海士が進路変更を指示していた (c)朝日新聞社 

 楽しい船旅が、一瞬にして悪夢に変わった。韓国南西部の珍島(チンド)沖で大規模な旅客船沈没事故が4月16日、発生。修学旅行中の高校生ら約470人を乗せた船は、「ドーン」と大きな音をたてて傾き、瞬く間に沈んでいった。19日現在、29人の死亡が確認され、約270人の安否が不明となっている。

 大惨事を招いたのは、避難指示の遅れとの指摘もある。船が傾く異常事態でも「そのまま動かないように」と客室にいるよう放送が流れたと話す乗客もいたという。また、船長ら乗組員がいち早く逃げ出したとの疑惑も出ている。

 日本海難防止協会の小川泰治常務理事はこう話す。

「船舶に危険が迫った場合、船長や乗務員が責任を持って乗客を誘導したり避難させたりしなくてはいけないのは基本。先に逃げることはまずあり得ない」

 もし、我々が実際に沈没事故に遭遇し、船長らの指示があてにならない場合、どのように対応したらよいのだろうか。

「最後の手段だが、船が沈んで、このままだと波にのまれるとなれば、救命胴衣があれば海に飛び込んだほうがいい。船の外に出たほうが、中に閉じ込められたり逃げ遅れたりするリスクは少ない」(小川氏)

 航洋船の船長らで作る社団法人・日本船長協会も、早めに外に出ることをポイントにあげる。

「とにかく客室の外の、広いところへ出ること。船の衝撃で扉がゆがんで開けられず、閉じ込められるケースが多い」

 一方、船舶運航に詳しい神戸大大学院の渕真輝准教授は、出航の前の“下見”が重要だと語る。

「普段の生活の場とは違うという意識を持って、非常時の集合場所まで一度行ってみるのがおすすめ。救命胴衣や避難経路についても確認しておくべきです」

 海に飛び込んでも、まだ安心はできない。中でも警戒すべきなのは、じわじわと体力を奪う低体温症だという。海洋スポーツに詳しい東京海洋大の千足耕一准教授は、「救命胴衣をつけ、持っている服を着込み、靴も履いて水に入るのが基本です」と話す。靴が浮きの代わりとなり、けがから守る働きをすることもあるという。

「熱を奪われないよう脇をしめて両腕を組み、膝を曲げ、なるべく小さくなって浮くといい。集団で輪になり浮いていると救助隊も見つけやすく、体温維持やメンタル面でも勇気づけられます」(千足准教授)

 また、沈んでいる船のそばにいると、渦に巻き込まれる可能性があるため、飛び込む際はできるだけ船から離れるべきだという。

 一瞬の判断が明暗を分けてしまうことを、肝に銘じるべし。

週刊朝日 2014年5月2日号


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