事件現場 (c)朝日新聞社 @@写禁
事件現場 (c)朝日新聞社 @@写禁

 群馬県館林市のディスカウントストアの駐車場で白昼、鈴木千尋さん(26)が射殺されたショッキングな事件の幕切れは、あっけないものだった。

 鈴木さんにつきまとい、事件後、行方不明になっていたストーカー男とみられる遺体が2月21日朝、栃木県鹿沼市の山中に止められた車の中で発見されたのだ。

「男は白と黒のジャージー、紺色の作業ズボン姿で側頭部を撃ち抜き、死んでいた。車のドアはロックされ、他に外傷はなく、回転式の拳銃が手の辺りに転がっていたので、覚悟の自殺でしょう」(栃木県警関係者)

 事件後の20日の深夜に自殺したとみられている。

 男は長距離トラックの運転手の永井隆央容疑者(39)。永井容疑者は昨年11月、鈴木さんに対する暴行容疑で罰金刑となり、釈放後、ストーカー規制法の対象となり、警察から警告を受けていた。

 ところが、それ以降もしつこく鈴木さんにつきまとい、メールで復縁を迫ったため、警察から口頭で注意されていたという。

 鈴木さんとの間に、いったい何があったのか?

「二人が知り合ったのは、鈴木さんが以前、勤めていた栃木県足利市内のキャバクラです。鈴木さんは3歳の子供の母親で、生活のために店で働いていた。永井容疑者は客としてやってきて、最初は親しくしていたようだが、独占欲が強く、嫉妬深い永井容疑者を鈴木さんがうとましく思い、別れ話を切り出した。すると、『これまでのプレゼント、食事代を返せ』『裁判で訴える』などと文句を言い、鈴木さんは店にいられなくなり、やめた」(二人の知人)

 永井容疑者の執念はすさまじく、1日に50~100通のメールを送りつけ、電話を繰り返したという。

「鈴木さんがメールアドレスを変えても、友人や実家に連絡しては居場所をつきとめ、追い回した。永井容疑者は身長180センチ以上のイケメンで2度の離婚歴があり、1人目の妻との間に子供もいた。カネには困っていたようで、昼間はトラックを運転し、夜は車の代行運転手をやっていたが、鈴木さんをストーカーしていた昨年12月以降は欠勤していた。それまでの勤務態度はまじめで無口。知人に暴力団関係者がいたとも言われ、銃はそのルートで入手した可能性があります」(同前)

 群馬県警は定期的に鈴木さんの安否確認をしていたが、事件を防ぐことはできなかった。銃社会の到来を告げる不気味な事件だ。

週刊朝日  2014年3月7日号