今野敏さん(撮影/写真部・関口達朗)
今野敏さん(撮影/写真部・関口達朗)
堂場瞬一さん(撮影/写真部・関口達朗)
堂場瞬一さん(撮影/写真部・関口達朗)
堂場瞬一さん(左)と今野敏さん(右) (撮影/写真部・関口達朗)
堂場瞬一さん(左)と今野敏さん(右) (撮影/写真部・関口達朗)

 今野敏さんの「連写 TOKAGE3」と堂場瞬一さんの「内通者」(どちらも朝日新聞出版)、警察小説2作品が2月7日に同時発売された。絶大な人気を博すお二人に、警察小説の面白さなどを語ってもらった。司会は文芸評論家の細谷正充さん。

*  *  *

――最近、警察小説は人気があります。警察組織が社会の縮図に近いからではないでしょうか。

堂場:組織の上司と部下、同僚の関係は、民間企業でも公務員でも変わらないと思いますね。

今野:変わらないですね。

堂場:日本で普通に働いていたら、誰でも納得できる関係性ってあるじゃないですか。警察小説を書くうえで、そこは外さないようにしています。「本当はやりたいんだけど、やれない」とか、「やりたくないんだけど、やらされている」とか。日本の会社員の9割はそういう状況にいると思うんですよ。

今野:俺の警察小説のリアリティーって、会社員をやっていたときの類推なんですよ。だから、少しではありましたが、「会社員をやっていてよかったなあ」と思うんです。事件に興味がないので、刑事さんがいろんな人間関係の中でどう振る舞うかに興味があるんです。

堂場:ただ、警察の場合はそこで人が殺されたり、被害に遭ったり、早急に解決しなくてはいけない問題がありますよね。だから、読者は共感しながらも、緊迫感を味わいながら読むことができる。そこがおもしろいんじゃないかと思います。

今野:警察小説は、入れ物だと思うんですよね。恋愛も入れられるし、親子関係も入れられる。上司と部下の関係も入れられる。「非常に使い勝手のいい入れ物だなあ」と思っているんです。

週刊朝日  2014年2月21日号