「調整力不足」の石破氏 (c)朝日新聞社 @@写禁
「調整力不足」の石破氏 (c)朝日新聞社 @@写禁

 維新の会、みんなの党の援護も得て盤石な体制となった安倍政権。朝日新聞の最近の世論調査でも53%と、昨年12月の政権発足直後の59%とさほど変わらない内閣支持率を誇る。しかし、石破茂幹事長の存在が不安要素になっている。もともと「調整力に難あり」と言われていたが、来年1月の沖縄・名護市長選の候補者擁立を巡り、それを露呈してしまった。

 米軍「普天間飛行場」を市内の辺野古に移す計画に反対の現職市長に対し、政府・自民党は賛成派の候補をぶつけて優位に選挙を進める。そして年内に、仲井真知事に「辺野古埋め立て許可」を表明してもらうシナリオを描いていた。

 だが、あろうことか賛成派の候補を一本化できず、前市長と県議の2人が立候補を表明してしまったのだ。自民党中堅議員が嘆く。

「分裂なんかしたら現職に勝てないし、知事だって『埋め立て許可』を出せませんよ。選挙を統括する石破幹事長は、日米関係に関わる重大な市長選なのに沖縄県連に任せっぱなし。2人に立候補の動きがあっても、面倒なことに首を突っ込みたくないのか、のんびりしていました。安倍首相はカンカンで、あわてて官邸が一本化に乗り出していますが、厳しい状況です」

 分裂選挙となれば、「辺野古移設」が遠のく可能性が高い。安倍首相が重視する日米関係への影響も計り知れない。

「首相と石破氏の亀裂も決定的なものになります。通常国会での他党との調整も幹事長ではなく官邸主導となり、首相の負担はさらに増す。ストレスがたまらないか非常に心配です」(官邸関係者)

週刊朝日 2013年12月6日号