「外務省は伏魔殿のようなところだ」との「名言」を吐いた田中真紀子氏(68)は2001年、小泉内閣で外務大臣に就任し、数々の“武勇伝”を残して、わずか9カ月で更迭された。

 あれから10年、今度は文部科学大臣として奇跡の復活登板。真紀子氏は、「役所と対立しようなんて全然思っていません。いつぞやは、たまたま運が悪かった」と言うが、過去が強烈なだけに不安は高まる。就任初日には早速、議員会館にあいさつに訪れた事務次官を女子トイレに呼び出し、指示を出したという“騒動”が報じられた。

 さしもの民主党も、いじめ問題に取り組む文科官僚が大臣に“いじめ”られてはたまらないと、「対策」を練っているという。その一つが、文科副大臣に起用された松本大輔氏(41)だと、民主党中堅議員は言う。 「松本氏は野田氏側近で、真紀子サンのお目付け役とみられる。人柄も良く、何より男前。真紀子サンは昔からイケメンに弱く、松本氏の言うことなら聞くという計算じゃないか」

 一方、受け入れる側の文科省はどうか。元文科官僚で映画評論家の寺脇研氏は、こう語る。

「現場は特にあわてていませんよ。かつて科学技術庁長官の時は役人側が田中氏を敵視していて、前回の外務大臣の時は田中氏が官僚を敵視していた。今度は、どちらもなく、今のところトラブルが起こる要素がないんです」

 そもそも文科省には「政治的な動きをしない」という伝統があり、「伏魔殿」の外務省とは文化が違う――とのこと。そんな従順さが、あるいは最大の“いじめ対策”なのかもしれない。

週刊朝日 2012年10月19日号