7月20日、大津市内の市立中学校は終業式を迎えた。中2男子生徒(当時13、以下「被害少年」)の自殺から約9カ月たったが、今回の被害少年の死に至るまでの経緯を見たとき、断じて許すことができないのが、大津市教育委員会の対応だ。

 被害少年の自殺原因についての市教委の調査は約3週間で終わり、「いじめはあったが、自殺の原因ではない」との趣旨で結論づけた。しかし、この調査結果を疑問に思う市教委職員もいたようだ。

 複数の市教委関係者に話を聞くと、「春の人事異動の準備も始まっていたし、調査は当初から『自殺といじめの因果関係はない』という結論が決まっていた」と口をそろえる。ある大津市教委職員は、こうも話した。

「私だけでなく、ほかの人も同じように調査結果を疑問視する感覚だったと思う。生徒や教職員の話からも、いじめと自殺がまったく関係がないということは考えにくい状況だった。でも、ある市教委の幹部が『あそこ(被害少年の家)は親が暴力ふるったりしている。家が悪かったんだよ。いじめは言いがかり』と大きな声でランチタイムに話していたのを聞いたことがある。そばにいた澤村憲次教育長も『そうだ』とうなずいていた」

 市教委が調査を打ち切り、その結果を発表した4日後の昨年11月6日、澤村氏は大津市の海外視察団の一員として、オーストラリアに旅立った。

※週刊朝日 2012年8月3日号