またひとつ「原子カムラ」の隠蔽体質があらわになった。国の原子力委員会が、核燃料サイクルのあり方を議論する過程で、推進派だけを集めた「秘密会合」を開いていたのだ。

 細野豪志・原発相は5月26日、福島第一原発の4号機を視察し、爆発で損傷した原子炉建屋内を自ら回り、その「安全性」をアピールした。また東電は、視察に合わせて海外メディアを含む報道陣にも福島第一原発(フクイチ)を公開した。

 だが4号機の危険性を早くから指摘する元スイス大使の村田光平氏は、

「東電が言う安全を信じる人などいません」

 と断言する。

 イタリアの環境団体は5月18日、日本政府にフクイチの燃料プールから使用済み燃料を緊急に取り出すことを求める声明を出し、賛同者を募り始めた。要求に、こんな項目がある。

〈東電の手に余ることが示された福島事故を収拾させるため、国連の支援の下、広範な権能を与えられた国際的な組織を設けること〉

「世界は自分たちの生活を脅かすリスクとして4号機問題をとらえています。日本が単独で、まして事故を起こした東電に解決を任せるべき問題ではありません」(村田氏)

※週刊朝日 2012年6月8日号