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 新ドラマ開始の時期になるとどこもかしこも番宣に躍起だが、それも程度次第。やればいいというものでもないのだ。今回の木村拓哉主演「A LIFE~愛しき人~」がまさにそれ。SMAP解散後の主演ドラマとあって、なにがなんでもハズすわけにはいかないという事情はわかる。が、これでもかと番宣(&スポットCM)されるとこちらの満腹中枢は刺激されっぱなし、肝心の第1話が始まる頃にはお腹いっぱいで、ゲップしか出ない。

 ちなみに、キムタクによる番宣攻めがどれだけあったかというと、年明け早々2日の「冬の新ドラマ祭!主要キャストが大集合!本格ストーリー&秘密の素顔がベールを脱ぐ」に始まり、9日「関口宏の東京フレンドパーク2017新春ドラマ大集合SP!!」、12日「ニンゲン観察バラエティ『モニタリング』」、13日は朝「白熱ライブ ビビット」、夜「ぴったんこカンカン」、14日は「サタデープラス」「王様のブランチ」、そして、15日当日の昼下がりに放送されたこの「木村拓哉密着ドキュメント!」だ。

 「その男は今、何を思い、何を感じ、何を背負って闘っているのか。今夜始まる木村拓哉主演『A LIFE』。12月初旬からつい先日まで、34日間にわたって彼にカメラを向け続けた。毎日質問をぶつけ、胸の内を聞き出した……」

 どこかで聞き覚えがあると思ったら、「情熱大陸」のナレーションと同じ窪田等の声。あの声で「木村はすでに医者目線になっていた」などと言われると、スーッと入るから不思議。これぞ「情熱大陸」マジック。そう、この番組、まんま「情熱大陸」だったのだ。あの「逃げ恥」のみくり(新垣結衣)が妄想の中で出演していたのは笑えたが、普通に「情熱大陸」をやられても……。しかも、「『A LIFE』に密着」ではなく「木村拓哉に密着」なのでメインは当然、木村。スタッフや共演者に話を聞いたところで、突き詰めれば全部「木村さんカッコいいっす」に収斂されていてなんだかなあ。共演者の松山ケンイチが、役作りに対する姿勢を褒め称えていたが、映画『聖の青春』で20キロ増量したマツケンだって相当なもの。役者が役作りをするのは当たり前なのに、それをさもすごいことのように見せられてもなあという感じ。

 この「密着ドキュメンタリー」のせいで、本編を見ながら、あんなに大風呂敷広げていたのがこれ?と、がっかり感すら芽生え、まったくの逆効果に。番宣のし過ぎにご用心! ということで、「A LIFE」の皆様に今月のダラクシー賞を贈りたい。

※『GALAC(ぎゃらく) 3月号』より

桧山珠美(ひやま・たまみ)/テレビで見た「作り置きダイエット」を実践。1週間分のおかずをまとめて作り置きし、1週間で食べ切るはずが、3日間で食べ切ってしまいました。そりゃ太るはず、と神の声。