書評『見晴らしガ丘にて それから』近藤ようこ著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

見晴らしガ丘にて それから 近藤ようこ著

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朝山実書評#話題の新刊

 旧作『見晴らしガ丘にて』から30余年を経た、郊外の住宅地に生きる人々の短編連作漫画だ。

「バースデイ」は、20歳の誕生日に父親に会いに来た息子に、夕飯を振る舞う再婚家庭の一日を描く。父子の一瞬見せる表情が、会わずにいた歳月を想像させる。コマを追う漫画ならではのよさがある。

「天国の庭」は、自殺しようと町に帰ってきた女性が、認知症らしき老女の家に居候する。亡き娘と間違われ、身の回りの世話をするが、老女のにこやかな表情からは症状がつかみきれないのがミソ。「猫と歩けば」では、ひきこもりの男性が、母の急死で変わっていく。母の飼い猫を散歩させ、無精髭を剃り落とし……。どの短編も読後に爽快感がある。事情があるにせよ「生きて」という強いメッセージが込められている。(朝山 実)

週刊朝日  2019年10月11日号


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