ももクロの美学 〈わけのわからなさ〉の秘密

新書の小径

2013/06/13 16:31

 アイドルでもアニメでも、好きになったら、同好の士とそれについての熱く深い話をしたい。論評とか分析とか悪口とか罵倒とか愛の告白とか、いろいろな言い方をするが「とにかく好きなものについて語りたい」の一念だ。好きなものについて語ることは、好きなものを食べて飲み込んでしまうのとイコールだ。それは血となり肉となる。それを読むのもとても面白い。
 そういうものと並行して「学者によるマンガやアイドルやアニメについての論文」みたいなものがある。これが面白かったためしがない。たぶん私の、論文を読む能力に欠けるという問題が大きいんだと思うが、「こういう思わぬ分野で論文を書く最高学府のオレ」というようなスケベ根性&スキマ狙いみたいなのもあるんじゃないの。それがハナにつくんではないか。
 さて本書は東大准教授による論文のような内容でした。ももいろクローバーZというユニットはいろいろなところで語られることが多くて、なんでそう語られるんだろうとずっと不思議に思っていた。私はももクロがわからない。AKBは好きだ。で、なぜ私がももクロがダメでAKBがイイのか、ということへの答えをくれるかもしれないと期待したんだけどダメだった。いや、この本は別に「ももクロvs.AKB」の本じゃないからその違いが書いてなくてもいいんだが、同時代のアイドルユニットなのでどうしても文中にいっぱい出てくるんですよAKBが。でも著者の安西さんが「ここが違う」と書いている部分の「違い」が、確かに違うだろうけれどそりゃグループが違うんだから……という程度にしか読めないのが隔靴掻痒。
 ほんとは「AKBはこんなにダメでも、ももクロはこんなにイイ!」と言いたかったのに「抑えた」のだろうか。私は「アレがダメなのにくらべて、こっちの素晴らしさ!」みたいな、熱気のある文章を読みたかったのだった。求めるものを間違ったこちらのミスです。

週刊朝日 2013年6月21日号

ももクロの美学 〈わけのわからなさ〉の秘密

安西信一著

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ももクロの美学 〈わけのわからなさ〉の秘密

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