書評『「マツダ商店(広島東洋カープ)」はなぜ赤字にならないのか?』堀治喜著 |AERA dot. (アエラドット)

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《ベストセラー解読 (週刊朝日)》

「マツダ商店(広島東洋カープ)」はなぜ赤字にならないのか? 堀治喜著

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青木るえか#新書の小径

愛は妄想を生む

 当欄では「ほぼ地方の書店でしか売られていない地方新書」にも光を当てたい。そこで「ザ・広島!」だ。私の住んでいる広島って、テレビつけたらカープカープ、マツダマツダで、「すべてのニュースの中でふつうにトップ」である。その割に道路にはマツダ車よりトヨタが目についたりする。しかしカープ愛はすごい。地方球団の中でいちばん「泥臭い熱さ」で応援されている。サンフレッチェへの応援はそれほど泥臭くないので、「広島の地域性」というよりも「広島で野球を愛する人の人間性」だと思われる。
 この書名は、一見ビジネス新書を思わせる。いわゆる「地方の名門企業がうまくやっていく秘訣本」のような。まったく違う。
 「巨額マネーを手にしていた巨人たち」という始まりで、いったいどういう話が展開されるのか、と読んでいくと、つまりは「カープは37年連続黒字であるが球団成績は低迷を続けている。使うところに金を使わないからだ! 赤でもいいから(いやカープといえば赤ですけど)つぎ込むところに金つぎ込んで強くしろ! つぎ込むはずの金はどこに消えたんだ? 誰とは言わないがオーナーのとこじゃないのか? カープは松田家の私物じゃない! でもカープ大好き、がんばれ!」(大意)という内容なのであった。
 選手の育成や使い方も、現在のカープはなっていないらしく(成績を見れば、まあそれはそうだろう)、協調性という言葉に「呪われて」こんなことになってしまったそうだ。日本プロ野球誕生時からひもといてカープの歴史を語るが、要は「とにかくカープがんばれ」。とどめは「カープ仮想メンバー」を妄想して(金本とかが戻ってくる)、幸せな気分になっている。が、その幸せもすぐ冷めて、今のカープを思って首を垂れる。
 熱い本というのは何にせよ面白い。あ、この本、前に紹介した『衣笠祥雄はなぜ監督になれないのか?』の人が書いてるのか! 一読の価値はある。

週刊朝日 2013年1月4-11日新春合併号


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