子育て本の著者である白崎あゆみさんは実体験も踏まえ、子どもの成長には親の生き方が大きく反映されると指摘します。親子そろって自己肯定感を育み、前向きな人生を送るために大切なことを『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2023」』(朝日新聞出版刊)から紹介します。

MENU 親が自分を主語にして気持ちと理由を伝える 自己肯定感を育むには「親が何を見るか」が重要

*   *  *

「どうも私は歌がうまくないらしいんですよ」

 そう言って屈託なく笑うのは白崎あゆみさんだ。北陸放送でアナウンサーを務めた経験を持ち、現在はコーチングの学びを生かして保育園や幼稚園などへのコミュニケーション研修の提供に力を注ぐ。

 アナウンサー時代は音痴を笑いの種にされたこともあったが、本人は気に留めていない。子ども時代の原体験が大きいという。

「小さいころ、歌詞に『あゆみの のろい ものはない』と、わたしの名前の『あゆみ』が入っている童謡の『うさぎとかめ』が好きで、その曲を歌うと両親がすごく喜んでくれたんです。『恥ずかしいからやめなさい』とか『もっとうまく歌えるんじゃない?』とかではなく、ただただうれしそうにしてくれるので、人前で何かをするのが楽しくなったというのはありますね」

 誰かに見てもらうのが好きになった白崎さんは、上智大学在籍中にNHKの連続テレビ小説に出演。「恋のから騒ぎ」(日本テレビ)というトーク番組で場を盛り上げ、アナウンサーとしても活動した。その歩みには両親の教育観が影響していると実感している。

「お手伝いするときでも、『こうしなさい』と先回りして声をかけるのではなく、じっくり見守ってくれる感じでした。私が今、講演会やスクールでよく話すのは、子育てでは『見守る』行為がとても大事だということ。チャレンジしたり失敗したりできる安心感があると、子どもはいろいろと前向きに取り組めます」

 誰よりも親に認めてもらいたい─それが子どもの本能だと白崎さんは話す。その思いに応えるには、子どものありのままの姿を受け入れる姿勢が最重要事項だという。不完全さや失敗が否定されず、あるがままを受け止めてもらうことで育まれる自己肯定感。高く揺るがない自尊心こそが豊かな人生には不可欠だと白崎さんは指摘する。

著者 開く閉じる
菅野浩二
菅野浩二

NEXT“悪魔の口ぐせ”では後味の悪さしか残らない
1 2 3