「自己肯定感の強さは、自信にもつながります。失敗してもその経験を生かしてまた挑戦することができます。失敗を失敗で終わらせず、成功を手にできれば、それがまた自己肯定感を強めるという好循環を生み出します」

親が自分を主語にして気持ちと理由を伝える

 白崎さんは子どもの自尊感情を弱める親の身勝手な言葉を“悪魔の口ぐせ”と呼ぶが、叱る行為自体に異議を唱えているわけではない。なぜ嫌な気分になったのか、なぜ悲しくなったのかを具体的に伝えれば子どもは傷つかないという。「ちゃんとして!」「さっさとして!」「そんなことしたら恥ずかしいよ」だけでは理由がわからず、ただ怒られた後味の悪さしか残らない。

「親が自分を主語にしてなぜそう感じているのかを具体的に伝えるのがおすすめです。まずは気持ちを知らせ、たとえばなぜやめてほしいのかの理由を話せば、きちんと理解してもらえるはずです」

 白崎さんは「ほめるときも同じで、ただ『すごいね!』ではなく、『たくさんつくったね』『この色、ちょっと不思議だね』など、親の感情をもう少し詳しく伝えましょう」と続ける。細かい部分をほめられることで、子どもは「ちゃんと見てもらえているんだな」と安心感を抱くことができるからだ。細部を見つめる親のまなざしが子どもの自己肯定感を強めていく。

自己肯定感を育むには「親が何を見るか」が重要

 白崎さんは実体験も踏まえ、子どもの成長には親の生き方が大きく反映されると考えている。自己肯定感も例外ではない。自分を否定する親の言動は、間接的であれ、子どもの自己評価も下げていく。白崎さんは次のように注意する。

「仕事で失敗したとか家事がうまくこなせなかったという理由で落ち込むママやパパの姿を見ると、子どもも物事のマイナス面ばかりを見てしまうようになります。あるいは仕事や家庭のストレスで、わが子に当たるように『何がしたいの?』『いい加減にして!』『泣いてる子、嫌いだよ』と叱りつけたら、それだけで子どもの自己肯定感は傷つけられてしまいます」

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