4歳の一人娘を持つ40歳の父親。親戚の3きょうだいから毎年お年玉をねだられ、不公平感を抱いています。「論語パパ」こと中国文献学者の山口謠司先生が、「論語」をはじめ中国の古典から格言を選んで現代の親の悩みに答える本連載。今回の父親へのアドバイスはいかに。

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【相談者:4歳の娘を持つ40歳の父親】

 4歳の娘を持つ40歳の父親です。私には義姉夫婦の子である中学3年生と小学6、4年生の3きょうだいのおいっ子・めいっ子がいて、毎年彼らからお年玉をねだられることに不公平感を抱いています。家には実母も一緒に住んでいて私の収入だけでやりくりしているので余裕がありません。1人5千円にしていますが、毎年1万5千円を包むのに対して、うちは一人っ子で、まだ小さいので、義姉夫婦からいただくお年玉は3千円です。

 娘にとっては年に1度会う大切な「いとこ」ではありますが、子どもの人数の差から、毎年お年玉の金額の差が痛いです。自分の気持ちと財産を守る方法はないでしょうか。こんなことを考える自分は、小さい人間なのでしょうか。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

【論語パパが選んだ言葉は?】

・「儒に、貧賤(ひんせん)に隕穫(いんかく)せず、富貴に充(じゅう)くつせず、君王に溷(はづか)しめられず、長上に累(わずら)はされず、有司に閔(や)ましめられざる有り。故に儒という」(※『孔子家語』儒行解)

※『論語』に漏れた孔子一門の逸話などを集めた古書

・子曰(い)わく、「力足らざる者は、中道にして廃す。今女(なんじ)は画(かぎ)れり」(『論語』雍也第六)

【現代語訳】

・儒者とは、貧賤の境遇にいても志を失うことがなく、富貴を得ても節度を失うことがなく、君主によって辱められることもなく、年長の人に束縛されることもなく、役人に悩まされることもない。だからこそこのような人を儒者と呼ぶ。

・孔子はおっしゃった。「努力をしない人は、志を貫くことができずに途中でやめてしまう。お前は、自分自身で限界を初めから決めてかかってもう無理だと、あきらめているのだ」

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山口謠司
山口謠司

山口謠司(やまぐち・ようじ)/文献学者・中国学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞。『ステップアップ0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など著書多数。母親向けの論語講座も開催。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族

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