【解説】

 あえて厳しい言葉でいいますが、相談者さん、あなたは小さい人間ですねー! もっと心の狭い、小さな人間になりたいのであれば、ノートに、どんどんこの世の中の不公平を挙げてみてはいかがですか。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツの資産は? テスラCEOのイーロン・マスクは、どんなステキな家に住んでいるか? 日本にも、大金持ちの人たちはたくさんいるでしょう。

 相談者さんの周りにも、どうしてこんなにぜいたくな生活ができるのだろうと思う人がいるのではありませんか?

 それに比べて、自分は……?

 お年玉を用意する時期に、毎年ずっと不公平感を抱き続けるなんて、惨めすぎます。1人5千円、3人のおいっ子・めいっ子さんに合計1万5千円、お年玉をあげると決めたのは誰なのでしょうか。お年玉に現金をあげるなんてこと、やりたい人はやればいいとは思いますが、もうなくしてもいいのではありませんか。

 そもそも、「お年玉」という名前をつけて、年始に現金を子どもにあげるようになったのは、1950年代後半です。「お年玉をあげる習慣は日本の伝統的行事」といわれますが、現金をあげる前は、お餅をあげていたのです。餅には無病息災の神様が宿ると信じられていたからです。「お年玉」は、言い換えれば、子どもを大事に思う気持ちなのです。

 孔子の教えに、こんな言葉があります。

「儒に、貧賤(ひんせん)に隕穫(いんかく)せず、富貴に充(じゅう)くつせず、君王に溷(はづか)しめられず、長上に累(わずら)はされず、有司に閔(や)ましめられざる有り。故に儒という」(『孔子家語』儒行解)

 孔子は、自分が貧しい境遇であること、裕福であることなどに関係なく、自分の志をひたすら貫き通せと説きました。君主や年長の人、あるいは役人に縛られて「やらされる」のではなく、自分が進んでやっていく気持ちを大切にすることが「儒学」、つまり生きる糧だと言うのです。

 しかし、人は、いろんな理由で、初めに決めたことを途中でやめてしまいます。

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