媚びないスタイル「ガールズクラッシュ」が魅力のBLACKPINK(GettyImages)
媚びないスタイル「ガールズクラッシュ」が魅力のBLACKPINK(GettyImages)

 K─POPグループは、厳しいインキュベーションシステムなどの育成手法やスタイルも似通っていることから、「工場生産されるようにみな没個性で、言われるままに動くアイドル」と認識されていることもあり、特に女性グループについてはこういう批判が常につきまとう。

 フランスの「ル・モンド」紙は2011年のSM社のパリ公演の成功について、韓国政府の支援に触れつつ、「輸出可能に製品化された音楽、事務所の企画どおりにキレイにラッピングされた少年少女」と皮肉った。

 こうした批判的な見方に対して、BLACKPINKは、最近特に女性に人気の「ガールズクラッシュ(他者に媚びないスタイルで、同性が惚れこむ魅力を持つ女性)」なキャラクターを持つガールズグループとして、これまでの韓国の女性アイドルとは異なる方向性を見せたといわれる。彼女たちが通訳を介さずに自分たちの言葉で話す姿は、欧州でも好意的に評価されているという。

 そして、HYBE社も、2020年には日本人メンバー一人を擁する七人組のボーイズアイドルグループ「ENHYPEN(エンハイプン)」をプロデュースし、今後、日本とアメリカで現地オーディションを開催することを発表している。

◆CGのアバターのメンバーも

 また、21年9月、グローバルヒット曲「江南スタイル」で知られる歌手PSYが立ち上げた「P NATION」社とJYP社が組んだ公開オーディションで誕生したボーイズグループにも、日本人メンバーが入っている(JYP社所属のグループに二人、P NA TION社所属のグループに一人)。しかも、うち一人は、09年1月生まれの当時12歳で、K─POP史上最年少といわれた。
 いちはやく海外出身者をK─POPグループに導入したSM社は、2020年11月にデジタル時代の次世代アイドルとして「aespa(エスパ)」をプロデュースした。

 中国人、日本人メンバーを含む現実の人間四人と、メンバーそれぞれをモデルにしてC Gで創られたバーチャルキャラクター(アバター)四人の合計八人で構成されたガールズグループだ。グループの名は「アバター」と「エクスペリエンス」を組み合わせたもので「バーチャル世界の、もうひとりの自分(アバター)に出会い、新しい経験をする」というコンセプトだった。

 同社六年ぶりのガールズグループデビューとあって注目を集め、デビュー曲のMV(ミュージックビデオ)は評判にもなった。この新しい試みの答えはどうでるだろうか。

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「プラットフォーム」を制するHYBE社