秋以降、ほぼ毎月模試が行われ、いよいよ志望校や併願校をリアルに絞り込む時期になってきました。模試では、偏差値はもちろん、志望校の合格確率が逐一出るため、焦りや不安に苛まれている親は多いでしょう。しかし、「11月以降は模試の結果より過去問の答案内容を重要視するべき」と指摘するのは、プロ家庭教師「名門指導会」代表・塾ソムリエである西村則康先生です。過去問を解くこの時期に、親がやるべき合格への後押し法を聞きました。

MENU ■過去問で算数8点。自信を喪失したわが子に親がした提案とは ■過去問分析なんて無理!そんな親が頼りにするべきは…

後編「中学受験で『あと10点』を伸ばし合格を引き寄せるには? 親にできる直前期のサポート法」に続く>

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■過去問で算数8点。自信を喪失したわが子に親がした提案とは

 親子ともに憧れのW大学付属校を目指して、小学4年生から塾に通っていたA君。模試結果によるクラス替えでも、いつもトップクラスにいました。国語が得意で、記述問題で点数を稼げていた一方、算数の応用問題は苦手で、ぱっと見で「難しそうだ」と腰が引けてしまう面がありました。

 初めて志望校の過去問に取り組んだのは6年生の9月。しかし、初回、算数の点数が8点で、大きな衝撃を受けました。2回目も算数が惨敗で、全く手も足も出ませんでした。模試ではここまで点数が取れないことはなかったので、親子共々、軽いパニック状態に陥ったそうです。

 塾の先生に相談したところ、「この学校の算数は問題文が長く、A君は焦ってしまい、『これは◯○算だ』という解法に気づく前に数字をいじり始めてしまい、正解に至らないのかもしれない」とのこと。憧れの気持ちが強かっただけにプレッシャーも大きくなっていき、「算数はできないから、もう受験はやりたくない」とまで言い出しました。

「このままでは、メンタル的に参ってしまい、どこも合格がもらえなくなるかもしれない」と危機感を抱いたA君の母親は、W校以外に好印象を持っていたS校の過去問を取り寄せました。解答欄を見ると、国語は記述問題が多く、社会も必ず最後に記述問題があって、「ひょっとするとわが子にとっては、点数が取りやすい問題かもしれない」と感じたそうです。

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鶴島よしみ
スローマリッジ取材班 鶴島よしみ

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