子どものプライドを傷つけないように、「ママは、この学校もとてもいい学校だと思っているんだけど、練習のつもりで、S校の過去問を解いてみてくれる?」と試させたそうです。

 すると、算数はあと3、4問できたらなんとかなるというレベルで、国語と社会はとてもやりやすい様子。明らかにW校より手応えを感じられたため、「S校でこれだけ取れたのは、すごいね!算数も取れてるじゃない!」と褒めて、自信を喪失していた子どもの気力回復に注力しました。

 結局、W校の過去問の苦手意識は最後まで拭うことができず、12月の模試判定では合格確率が20%だったため、親子で納得して第一志望校をS校に決めました。そして2月1日、S校に晴れて合格。塾の先生には「長年の第一志望校を変更するのは勇気の要ることだったと思います。でも、子どもの得意教科がいきる学校をうまく選び直して、舵取りをしたお母さんの作戦勝ちです!」と労われたそうです。

■過去問分析なんて無理!そんな親が頼りにするべきは…

 この時期、A君のように、過去問を解いてみると模試のように点数が取れず、慌ててしまうケースも少なくないようです。

 模試は、さまざまな偏差値帯の子が受けるので、基礎から応用問題まで、偏らないように作られています。しかし、実際の入試問題となると、学校によって傾向は大きく異なります。難問を数問だけ出して、解き方の過程を見る学校もあれば、さほど難易度の高くない問題を多く出題して、ケアレスミスが致命傷になるような学校もあります。偏差値帯が同じ学校でも、その子の特性に合うか合わないかで、合否が分かれることも多々あるというわけです。西村先生はこう言います。

「第一志望校の過去問が、最初からできる子なんてほとんどいませんから、できないからといって、すぐに志望校を変える必要はありません。しかし、過去問に合わせた対策をしなければ、点数を取れるようにはなりませんし、どうやっても点数が取れないと判断した場合には、時期を見て志望校を変更したり、過去問と相性のいい学校を併願校にしたりするべきです。それを決めるのが親の役割ですね」

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