「交通需要マネジメントも人流抑制に役立った。数字にも表れている。テレワークの推進も図った。ライブサイトも見直し、ステイホームで放映していただいたからこそ、視聴率も上がった」と強調。

 さらに「エピソードベースではなくエビデンスベースで語ることが重要だ」と一蹴した。

 なぜ、このように政治家たちは五輪がコロナ感染拡大の原因でないと言い切るのだろうか――。

 まず、最初に言い出したのは、政府だった。丸川珠代五輪担当相は10日の記者会見で、海外から入国した選手や大会関係者約4万3000人のうち9日時点で陽性者が計151人だったことなどを挙げ、「五輪とコロナ感染拡大の因果関係がない」と強調。

 また、加藤勝信官房長官も同日に行った記者会見で、「政府としては、(五輪が)現在の(コロナ)感染拡大の直接の原因になっているわけではない」と説明した。さらに「東京の夜間滞留人口は減少した。多くの方が連日、日本人選手らの活躍を自宅で観戦し、応援したことの表れだ」と力説した。

 しかし、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は12日の会見で、人流という観点から考えた際、「五輪開催が人々の意識に与えた影響があったかなかったかという議論があるが、私たちはあったと思う」との見方を示している。

 自民党関係者によると、感染拡大が収束しない状況で、今月31日までの期限だった緊急事態宣言を9月まで延長する案や対象地域の拡大が政府内部で検討されているという。

 SNS、ネット上では連日、感染拡大に歯止めがかからない現状に怒りの声が相次ぐ。

「どこに安心安全がある?今、医療現場は大混乱しているのに、オリンピック、パラリンピックを開催して、成功だと平気で言える神経がわからない」

「何も期待してない。けど、子供たちのことを考えてる風に言われ、実際はオリンピックはやるけど、子供の試合の中止は当たり前。金は出さないけど言うことは聞いてとか、普通に考えてもおかしい。重体の人以外は自宅待機?本当に国民の命大切さですか?」、

「緊急事態宣言出しても大企業ですら仕事は止まらない。学生の青春を奪うだけの宣言になってる。もうやめてあげて欲しい」

 授業、運動会、修学旅行など学校行事が中止になっている若者、子供たちに対して同情的な見方が多い。菅義偉首相が「最後の覚悟」と強調していた緊急事態宣言が有効な手立てにならず、感染者数は増加の一途をたどっている。事態は深刻だ。(牧忠則)