公立の学費で中高一貫教育が受けられることで人気を集める公立中高一貫校。開校当初に比べて倍率は落ち着いてきましたが、それでもまだまだ高倍率です。学校によって、志願者数の差も生じています。

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■減少傾向のなか、桜修館が好調

 自治体が設置する公立中高一貫校には、既存の中学校と高校が教員や生徒の交流などで連携する「連携型」、6年間一貫教育で高校募集のない「中等教育学校」、公立高校が附属中学を置く「併設型」の3種類がある。中等教育学校と併設型は入学試験にあたる「適性検査」で入学者の選抜を行うが、その倍率は毎年高く、狭き門となっている。

 しかし、1都3県(東京、神奈川、千葉、埼玉)全体の公立中高一貫校の志願者数は年々減少し、倍率も下がってきている。今年は昨年と比較し、東京、千葉で志願者数が減少し、神奈川では増やした。埼玉は今年、川口市立が新しく開校したことで総志願者数は増えたが、既存の3校では軒並み減少した。

 栄光ゼミナール公立中高一貫校受検責任者の宮田篤史さんは、次のように話す。

「東京や千葉でも、公立中高一貫校を第一志望にする受験生は増えています。志願者数減少のひとつの要因としては、私立をメインで受ける受験者の動向の影響があります。今年はコロナの影響で併願校を絞る傾向があり、私立が第一志望の受験生が公立中高一貫校を併願からはずしたことによるのでしょう。また減少したといっても受験倍率は依然おおむね4~8倍と高いので、近いから受検してみようと、いった『お試し受検が』が減ったようです」

 東京には都立10校と、千代田区立1校の計11校の公立中高一貫校がある。ほとんどの学校で志願者数が減少傾向にある中で、大きく増やしたのが、昨年比28人増の都立桜修館(目黒区)だ。応募倍率も5.98倍から6.16倍に伸びている。同校は中学校にあたる前期課程で、独自教科の「国語で論理を学ぶ」「数学で論理を学ぶ」を設定しており、論理的な思考力を鍛えている。志願者が増えている要因について、鳥屋尾(とやお)史郎校長は次のように話している。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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