その後も実用化に向け、レベル2のままながら「遠隔監視・操作システム」を開発した。遠隔のオペレーターが運転士と扱うことで、右左折のタイミング、複雑な状況に応じ、指令を送れる仕組みで、バスの運転席を無人にすることができる。小木津氏によると、「将来はオペレーターが2台以上の自動運転バスを仕切られるようにする」という。

 車両も遠隔型自動運転という仕組みを搭載、カメラを以前よりも増設して15個を配置することで、運転席からの視界をカメラで得られるようにするなどの改造が施された。

 国土交通省、警察庁の審査をパスし、2020年7月、旭営業所を「遠隔監視・操作システム」の拠点として、日本初の「運転席無人」「遠隔地に運転士」という進化した自動運転の実証実験を実施。10月に2日間ながら、里山ガーデン~よこはま動物園で、営業運行による実証実験が再び行われた。

■後続車を確認したら道を譲る

 営業運転に先立ち、里山ガーデン~よこはま動物園の往復で、報道関係者向けの試乗会が行われた。2019年の実証実験と同様、公道を時速20キロで走行する(通常の無料シャトルバスは時速35キロ程度で走行)。運転席は無人ながら、その隣に監視用の乗務員が立ち、非常時に備え、右手はサイドブレーキを握り、左手は非常停止ボタンがすぐ押せる態勢を整える。

 自動運転バスは12時41分に入線し、メディア10人を乗せて発車。まずは乗務員が“いつも通り”の手動で運転し、少々進んだところで止め、自動運転のセッティングに入る。

 12時45分、自動運転がスタート。左折し、公道を直進する。

「後続車両行かせまーす、一旦停止します」

 オペレーターの判断で一旦停止することになり、乗務員の放送が車内に響く。2019年実施時は20キロ/hでひたすら走行していたが、公道の最高速度標識は時速30キロなので、毎時10キロ遅い。後続車が接近すると、ノロノロ運転となり、数珠つなぎの恐れがあるため、道を譲ることにしたようだ。

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