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親による「連れ去り」の当事者が語る 片親から引き離れた現実と共同親権議論の“問題点”

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作田裕史dot.
親による子の“連れ去り”は国際問題になっている(写真/PIXTA)

親による子の“連れ去り”は国際問題になっている(写真/PIXTA)

母親による2度の“連れ去り”にあったと語るAさん。後ろに写っているのは実弟(写真=本人提供)

母親による2度の“連れ去り”にあったと語るAさん。後ろに写っているのは実弟(写真=本人提供)

 今、別居に際して一方の親が子どもを“連れ去る”行為が問題となっている。国内では14人の原告による国への集団訴訟に発展し、EUからは「子どもへの虐待だ」として対日決議が出されるなど、国内外で波紋を呼んでいる。本サイトでも「親による『子の連れ去り』が集団訴訟に発展 海外からは“虐待”と非難される実態とは」の記事で取り上げた。問題の根は深く、一方の親が「これは連れ去りで、実子誘拐だ」といえば、もう片方の親は「DVを受けていた。逃れるために仕方なかった」など、通常は親同士が激しく主張をぶつけ合っている。では、当の「子ども」はどう感じているのだろうか。自らを「連れ去りの当事者だった」と語る男性に話を聞いた。

【写真】母親による2度の“連れ去り”にあったと語る男性

*  *  *
 家庭裁判所が親権者や監護者、または面会交流について決める際、最優先に考えるのは「子の福祉」だとされている。2012年には民法が改正され、「子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない(766条1項)」と定められた。つまり、子の監護者は、親の都合や感情ではなく、子の福祉(利益)を最優先に考えられる人物であることが法的にも求められている。これまでの“連れ去り”をめぐる裁判でも「子の福祉」は大きなテーマとなってきた。

 では、実際の「子」の立場からは、突然に一方の親と会えなくなる現実はどう映っているのだろうか。

 都内に住む30代男性・Aさんは小学6年の3月に、母親から突然こう言われた。

「中学の制服は買わなくていい。みんなと同じ中学には行けないからね」

 当時、Aさんは生まれ育った北陸地方に家族で住んでいた。当然のように友達と一緒に地元の中学に行くものだと思っていたので面食らったという。理由を聞くと、

「お父さんはもう帰ってこない。違う町に引っ越すから。お前もついて来なきゃいけない」

 母親のこの言葉にますます混乱した。確かに、単身赴任中だった父親があまり帰ってこなくなったとは感じていたが、なぜいきなり引っ越すのか。父が帰ってこないのなら、どこに行って、誰と住むことになるのか。Aさんは理解ができずに「何で?」と繰り返した。すると、母親は激高してこう言ったという。

「もし来ないなら、お前を警察に突き出すからな! そうしたら牢屋に入れられるぞ!」


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