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日本人が海外渡航を恐れる理由とは?

連載「金閣寺を60回訪れたイスラエル人教授の“ニッポン学”」

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ニシム・オトマズキンdot.
カフェでくつろぐイスラエルの若者たち(提供/ニシム・オトマズキン)

カフェでくつろぐイスラエルの若者たち(提供/ニシム・オトマズキン)

テルアビブの美しいビーチ(提供/ニシム・オトマズキン)

テルアビブの美しいビーチ(提供/ニシム・オトマズキン)

Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長

Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長

 2005年1月、インドネシア、スリランカ、タイなどの地域を襲ったスマトラ島沖地震で発生したインド洋津波の2週間後、私はイスラエルから日本に行く予定でした。そのとき、私の叔母は危ないから行くなと言いました。

 彼女は「今日本に行くのはあまりに危険です! 日本は水没しているでしょう!」と言います。私が、日本は津波の起こった沿岸から遠く離れていること、私が行く予定になっている京都市は「絶対に安全である」と彼女に信じさせることがとても難しかったことを覚えています。

 最近、NHKチームがキリスト教徒にとって大事な都市であるベツレヘムで取材する予定があったのですが、ちょうどイランとアメリカの緊張感が高まった時期で、この取材がキャンセルになったという話を聞いて、自分のエピソードを思い出しました。イスラエルとイランは異なる国(距離は7時間のフライト)と説明しても、彼らはこの「状況」のため、来ないことを決めたのです。

 日本のこの「状況」に私は慣れています。中東だけではなくヨーロッパでさえ何か治安に関して悪いニュースが流れるたびに、日本の大学教授や実業家、観光客がイスラエルへの訪問を最初にキャンセルする人たちだからです。イスラエルで国際会議を主催するとき、私たちは日本の参加者に、安全であると信じさせるために一生懸命に説得しなければならないのです。

 2カ月前、日本のある地方の大学に所属する教授が、大学側からエルサレムでの会議に出席することを禁じられました。この会議は欧州、米国、中国、韓国とインドネシアからおよそ20人の教授が参加する予定でした。私たちは安全ですよという意味で会議のプログラムを送ったのですが、役には立たなかったようです。大学側からは「危険ですから、あなたは行くことができません」と彼は言われたそうです。

 なぜ、日本人は他国の人に比べて特別に不安定性を気にするのでしょうか。人があまり知らない遠い場所を恐れることは、自然なことです。私も中央アメリカに旅行する前に安全を確認するまでは同じでした。しかし、長年日本に住んで感じたことは、日本人は他国より特に強い「恐れ」の感覚を持っているようです。そのため日本人は悪い知らせを聞いた場合、すぐに海外旅行をキャンセルするのではないでしょうか。

 日本人が海外に抱く不安理由の一つは、メディアの在り方です。日本の報道は、他国の脅威とそれについての怖い話でいっぱいです。2015年、パリで起こった風刺新聞「シャルリー・エブド」で12人が殺されたテロ事件のとき、私はこの事件を日本の報道を通してテレビで見ていました。


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