ビンゴが終わったら、お世話になっている裏方のスタッフさんたちをねぎらう意味で、演者が「タレントは1万円ずつだそう」「お前は5万出せよ」とか言いながら、争奪じゃんけん大会が始まる。これに勝てば50万ぐらい手に入ることになるんだけど、タレントが勝っちゃったら「もう1回!」となって、ワーッと盛り上がっていました。そういう場があると活気付くし、昔はよくやっていたんですよね。

 今は番組に予算もないし、忘年会はほとんど無くなっています。忙しい12月を避けて、代わりに新年会をやることも多い。というのも、バラエティーに出るタレントって実は、レギュラー番組の年内最後の収録や特番の収録が終わると、26日、27日ぐらいから暇になるなんです。売れっ子は大晦日~元旦も忙しいですが、仕事に余裕ができた人やベテランになると、26日あたりから正月休みを取って海外に飛んじゃう。一方で、制作陣はそこからが大変で、実は忘年会をしている余裕なんて無いんですよね。だから年明けにしましょうとなるわけです。

 豪華景品が当たるような忘年会だって、みんながこぞって参加したいかというと、苦手な人もいたわけで、宴会がうっとうしいっていうのは自然な流れだと思いますよね。

 僕自身は事務所の忘年会には行かなくなりましたが、その代わり、自分の誕生日と単独ライブ後、忘年会という年に3回だけは若手と交わる場をつくっています。「来たい人はおいでよ」と声かけて、そのときの支払いは全て僕が持つんだけど、それだって若手の子たちが本当に来たいと思っているかはわからない……(笑)。断れないかもしれないし、金を払うのもただの僕のプライドですからね。豊臣秀吉の花見みたいなもので、年に何回か集まって、ワッとにぎやかなのをやりたいというだけで、よくよく考えるとバカバカしい(笑)。

 僕らはおそらく、先輩や上司の誘いを断ってはいけないという風潮の中で育った最後の世代で、個人的には大人としての一つの嗜みとして年に1回の行事ぐらい行っていても良いんじゃないかなと思んですが、「忘年会スルー」という言葉が共感されているのは、それだけみんなが「忘年会って何?」って疑問に思いながら行かされていたということでしょう。

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和田アキ子さんに誘われたら…