宇都宮健児弁護士(c)朝日新聞社
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オウム真理教元代表の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(c)朝日新聞社
オウム真理教元代表の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚(c)朝日新聞社

 一連のオウム真理教事件で、死刑が確定していた教祖の麻原彰晃(しょうこう)死刑囚(63)=本名・松本智津夫(ちづお)=、井上嘉浩死刑囚(48)ら7人の死刑が6日午前、東京拘置所などで執行された。被害者を支援する「オウム真理教犯罪被害者支援機構」の理事長を務める宇都宮健児弁護士に話を聞いた。

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 私は地下鉄サリンの被害対策弁護団団長や坂本弁護士のご家族とのつながりがあり、被害者遺族の方と長く接してきました。遺族の心情は十分わかっています。しかし一方で、日本弁護士連合会(日弁連)の元会長として、死刑は廃止すべきではないかという見解でもあります。

 遺族の心情からすれば死刑執行をのぞんでいたというのはわかっています。被害者遺族全体的な感情としては、死刑を望んでいたのが多数であることは承知しています。

 ただ、地下鉄サリン事件遺族のなかには、麻原の死刑は求めるが他の信者については死刑にすべきかどうかという意見もありました。当時、麻原のマインドコントロールで犯罪に手を染めた人も多い。教祖と他の信者を分けるべきではないかという意見があったのも事実です。

 死刑制度について、世界的な流れは死刑廃止です。制度そのものを考え直す時期にきているのではないかと思います。遺族感情は大変よくわかります。ですが、一方で片方でいまも「アレフ」とか「ひかりの輪」「山田らの集団」などに若い人が入ってきている。それを社会が食い止められていません。

 だからこそ、死刑確定者たちに、なぜ自分たちがあの集団に入り犯罪に手を染めたのか、彼らに語らせることのほうが社会的に意義があるとも考えています。一日に7人の執行というのが良いのかどうか、もっと考えなければならない。犯罪被害者を支援する立場として遺族の感情と矛盾しているところもあるかもしれませんが、死刑制度そのもののあり方を考える必要があると思います。

 アレフなどの後継団体に入信している若い人は年々増えていると聞きます。まだまだ十分な社会の防御ができていないのも事実。死刑によって事件はひと段落しますが、これまでの麻原を信仰するような後継集団が膨張しているともいえ、それを防御できてはいません。

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「犯罪者として生まれる人間はいない」