井岡一翔、実績十分なのに世界的知名度はイマイチ…求められるのは「記憶に残るKO劇」 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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井岡一翔、実績十分なのに世界的知名度はイマイチ…求められるのは「記憶に残るKO劇」

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杉浦大介dot.
5度目の防衛戦に挑むWBA王者・井岡一翔(c)朝日新聞社

5度目の防衛戦に挑むWBA王者・井岡一翔(c)朝日新聞社

 4月23日、大阪・エディオンアリーナ大阪で行われるWBA世界フライ級タイトルマッチの見どころは、王者の井岡一翔がどんな勝ち方をするかに尽きるだろう。挑戦者ノックノイ・シッチパラサート(タイ)は62勝(38KO)4敗という立派な戦績で、現在61連勝中。世界タイトルの数が増えた現代において、これほどの連勝記録を誇りながら、30歳にして世界タイトル初挑戦というのは異例としか言いようがない。

 順当にいけば、すでに3階級を制した王者の有利は動かしがたい。井岡は28歳と年齢的にも今がピークのはず。元来の距離の作り方のうまさ、最近のパンチのキレを考えれば、自己初の4連続KO防衛もかなり期待できそうだ。

 ただ、井岡について少々残念なのは、実績の割に日本以外での知名度が高いとはいえないことだ。とは言っても、評価されていないというわけではない。

 下記の通り、ESPN.com(スポーツ専門サイト)、リングマガジン(ボクシング専門誌)の階級別ランキングでは、井岡はフライ級の全選手の中で1位(注/リングマガジンは1位の上に王者を置いており、王座は現在空位)にランクされている。

ESPN.com
1位 井岡一翔
2位 ジョンリル・カシメロ(フィリピン)
3位 ドニー・ニエテス(フィリピン)
4位 アムナット・ルエンロン(タイ)
5位 ファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)

リングマガジン
王者 空位
1位 井岡一翔
2位 ジョンリル・カシメロ(フィリピン)
3位 ドニー・ニエテス(フィリピン)
4位 アムナット・ルエンロン(タイ)
5位 ファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)

 前述したように“チャンピオン”が山ほどいる今のボクシング界では、タイトルを持っているだけでは高評価は得られない。しかし、フライ級では井岡は文字通り“No.1の実力者”として認められている。階級ごとの層の違いはあれど、そんな日本人ボクサーはバンタム級の山中慎介と井岡だけである(注・井上尚弥はESPN.comのランキングではスーパーフライ級3位)。
 
 それにもかかわらず、“カズト・イオカ”が井上、山中、内山高志のような世界的なビッグネームになっていないのはなぜか。やはり対戦相手の質、名前の面でアピール不足なのが何よりも大きい。そして、ハイレベルの実力は認められていても、勝ち方には今一つインパクトがないのが響いているのだろう。
 
 そんな状況を少しでも変えるべく、シッチパラサート戦で望まれるものは何か。この一戦に勝てば世界戦14勝目で具志堅用高の日本記録に並ぶとは言っても、母国のレコードは世界へのアピール力としては乏しい。それよりも、求められるのはワールドワイドなファンを感嘆させるような豪快なKO劇に違いない。

 鮮烈な形で4連続KO防衛を飾れば、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、井上、カルロス・クアドラス(メキシコ)といった強豪が属する群雄割拠のスーパーフライ級戦線への参戦が改めて望まれることにもなるかもしれない。さらにビッグな将来につなげるために。有利の下馬評で臨む今戦は“記憶と記録”の両方に残る勝ち方を井岡に期待したいところだ。(文・杉浦大介)


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