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ノーベル賞の大隅良典さん 「生命現象の根源」解き明かす

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ノーベル賞に決まった後、東京工業大学で公演する大隅良典さん(写真:つのだよしお、アフロ)

ノーベル賞に決まった後、東京工業大学で公演する大隅良典さん(写真:つのだよしお、アフロ)

ジュニアエラ 2016年12月号

朝日新聞出版
定価:490円(税込)

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 12月10日に授賞式が行われるノーベル賞。ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典さんが解き明かした「謎」とは? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員・上田俊英さんの解説を紹介しよう。

*  *  *
 東京工業大学栄誉教授の大隅良典さんが今年のノーベル医学生理学賞に決まった。授賞理由は「オートファジー(自食作用)のしくみの発見」。やさしくいうと、生物がもつ「たんぱく質などの『ごみ』をリサイクルするしくみ」を見つけた。

 たんぱく質は、生物の基本となる物質だ。生物そのものの材料になるうえ、呼吸や栄養の消化など、生物のさまざまな営みにも欠かせない。

 生物が体内で、たんぱく質の一部を分解しているらしいということは、1960年代からわかっていた。しかし、なぜ、どんなしくみで分解するのかという「謎」に関心をもつ研究者は、世界にほとんどいなかった。その謎に挑んだのが、大隅さんだ。

「人がやっていないことをやるほうが楽しい。それがサイエンティスト(科学者)の本質だと思う」

 受賞が決まった後の記者会見でもこう話している。

 大隅さんは「酵母」という、たったひとつの細胞でできている微生物に注目。顕微鏡でくわしく調べ続け、1988年、オートファジーが起こっていることを発見した。さらに、このしくみが働くのに必要な14個の遺伝子も次々に見つけた。

 リサイクルが行われていたのは、細胞の中の「ごみため」と思われていた「液胞」という器官。不要物を膜が取り囲み、液胞に運ばれて分解されていた。液胞がない哺乳類などでは「リソソーム」が分解にかかわるが、不要物を膜が取り囲むという基本的なしくみは同じだ。

 オートファジーは「生命現象の根源」といえるしくみだ。要らない物を壊して、必要な物を新たにつくる。その営みによって、生命は維持されている。


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