




「選挙のめいすいくん」というキャラクターをご存じだろうか。選挙のポスターやパンフレットなどで見かける、背中に羽が生えた、黄色い猫のようなキャラクターだ。普段はあまり目立たない存在かもしれないが、近年、続々とご当地キャラが誕生し、総選挙まで行われているという。
まずはめいすいくんについておさらいしよう。誕生は2000年。選挙への参加や違反の防止などを呼びかける「明るい選挙推進運動」を進める公益財団法人、明るい選挙推進協会が、「運動を広めるためのイメージキャラクター」として製作した。名前の由来は、「明るい」の「明」に「推進」の「推」だという。
このめいすいくん、実は、投票箱をモチーフとしている。頭部にある2本の線は、投票用紙挿入口を表していて、正面からは分からないが、おしりには、投票箱にかける南京錠が付いている。そして背中の羽は、「明るい選挙に向かうため」に付いているそうだ。ちなみに「お父さん」と「お母さん」、弟の「ただしくん」、妹の「メイちゃん」もいる。
ひとたび選挙となれば、あちこちに姿を現すめいすいくん。投票を呼びかける街頭PRや学校の出前授業などでは、着ぐるみが登場することもある。明るい選挙推進協会によると、「着ぐるみを使うと人だかりができ、子どもはもちろん中高生にも好評」という人気ぶりらしい。
さらに、04年に秋田県で「なまはげめいすいくん」が誕生して以降、全国各地で「ご当地めいすいくん」が生まれている。協会によると、その数は、16年11月現在で40種類。協会のホームページには地域色に富んだめいすいくんが、まとめて掲載されている。
例えば、北海道森町の「いかめいすいくん」。名物の「いかめし」をイメージし、めいすいくんがイカに包まれている。コメントはもちろん、「投票にイカないと!」だ。高知市のめいすいくんは名物のカツオに乗ったり、名所のはりまや橋でたたずんだり。三重県伊賀市は忍者、三重県菰野町では僧兵姿と、各地の名物、名所と組み合わされているものが多いようだ。
中には、けっこうなアレンジが施されたものもある。新潟県佐渡市の「朱鷺めいすいくん」の顔は、トキそのもの。くちばしが付いている。群馬県の「高崎だるまめいすいくん」に至っては、赤と白のコントラストが鮮やかなダルマ姿で、顔つきまで変わっているようだ。
こんなに自由に作っていいのかという疑問を明るい選挙推進協会にぶつけてみると、担当者は「『明るい選挙のイメージキャラクター』というのを逸脱するものでなければ特に問題はないと考えている」と寛容なコメント。「それぞれの土地でなじみのあるご当地めいすいくんをつくっていただければ、その土地土地での明るい選挙のPR効果が高まると思います」(協会の担当者)