まさに、ここにきてMVNOに追い風が吹き荒れている。当然、MVNO各社にとっては、対キャリアだけでなくMVNO間での競争がますます加速されることが予想される。その事態を前にして、各社は特徴を打ち出そうと躍起だ。

 国内トップシェアのNTTコミュニケーションズ「OCN モバイル ONE」は、通常の1月あたりで利用できる月次コースだけでなく、1日あたりで利用できる日次コースを選択できるプランを提供中。12月1日からは、データ通信容量10Gバイトプランを新設し、動画や複数端末を利用するヘビーユーザー層の獲得を狙う。

 また、ケイ・オプティコムの「mineo」は、ドコモとauの両方のネットワークが利用できるMVNO。複数のキャリア間でシェアできる独自の料金プランを提供している。そんな「mineo」で端末の追加購入や機種変更する際に発生する手数料の廃止を11月に決定。最新端末への乗り換え促進が見込まれる。

ニフティの「NifMo」は通話で差別化を図る。IP電話を利用したかけ放題サービスをMVNOとしては初めて10月に開始。さらに、同じく10月にMVNOに参入したジュピターテレコムの「J:COM MOBILE」は、動画見放題で向かい打つ。加入後は「J:COMオンデマンド」のアプリを使用して動画を閲覧すれば、通信料がカウントされない仕様だ。

 大手キャリアの値下げの行方ばかり注目されがちだが、今後は追い風を受けて生き残りをかけた、ユニークなプランや特典を打ち出すMVNO各社の動向にも注視すべきだろう。とはいえ、まだまだ低い認知度やリアル店舗での販売数の少なさなど課題は多い。そうした弱点をいかに克服し、ユーザー満足度を高められるかが、さらなる普及の鍵になるといえそうだ。来る2016年は、果たして“MVNO普及元年”となるだろうか。