決勝点を決めたG大阪・藤春廣輝。浦和には痛恨の一点だった(撮影・六川則夫)
決勝点を決めたG大阪・藤春廣輝。浦和には痛恨の一点だった(撮影・六川則夫)

 今シーズンから採用されたJ1リーグのチャンピンシップ準決勝が11月28日、埼玉スタジアムで行われ、浦和(第1ステージ覇者、年間総合勝ち点2位)とG大阪(同3位)が対戦した。

 試合は1-1のまま延長戦に突入。タイムアップ2分前にG大阪のDF藤春廣輝が決勝点を奪うと、追加タイムの121分にFWパトリックがダメ押しゴールを決めた。G大阪が広島(第2ステージ覇者、同1位)の待つ決勝戦に駒を進めた。

 G大阪の先制点は、後半立ち上がりの47分。浦和のパスをカットしたMF大森晃太郎のクロスに走り込んだのは、ベテラン・ボランチの今野泰幸だった。相手GKにプレスを掛けて前線に残っていた今野は、ゴール前に飛び出すと、相手DFより一瞬早くボールにコンタクトして先制点をもたらした。

 決勝点を決めたのは左サイドバックの藤春だった。DF丹羽大輝のバックパスが味方GKの頭上を越えて自陣の左ポストに直撃。あわや、浦和に勝ち越し点を献上するところだった。そこから鮮やかなカウンターを見舞う。右MFに入った米倉恒貴からのクロスをワンタッチで決めた鮮やかなシュートは、FW顔負けだった。両チームとも決定機の数はそれほど多くないが、そのなかでもG大阪は本来なら“守備の選手”が大仕事をやってのけた。3点目を決めたパトリックは、ゴールよりも重戦車のような迫力満点のドリブル突破で、浦和のDF陣にプレッシャーをかけ続けたプレーを評価したい。

 対する浦和は後半の追加タイム94分にMF武藤雄樹がフリーで放ったヘディングシュートが決まっていれば、勝者と敗者の立場も入れ替わっていただろう。しかし、サッカーに限らずスポーツに“たられば”は禁物だ。ペトロヴィッチ監督は「延長でも主導権を握っていたし、全体を通してわれわれが勝利に値するチームだが、結果は違った」と悔しがったが、スタメンだけでなく交代選手のクオリティーや監督采配といった総合力でもG大阪の勝利は順当と言える。

 浦和はリーグ終盤、エースストライカーの興梠慎三をケガで欠く不運があったとはいえ、GK西川周作や武藤など大型補強をしたにもかかわらず、2年連続でリーグ優勝を逃した。こうなると、監督自身が“持ってない”としか思えない。すでに来季の続投は決まっているが、浦和がタイトルを奪還するには監督交代も視野に入れた方がいいかもしれない。

(サッカージャーナリスト・六川亨)