砂浜ビンゴとは、NACS-Jがつくった3×3のマスの中にある生きものや海岸の状況が、調査する海岸に当てはまるかどうかをチェックするもの。ビンゴカードのマス目には「生きものが開けた穴があるか?」「オカヤドカリはいるか?」「ツルナは生えているか?」など、9つのチェック要素が書かれている。通常のビンゴはマス目に数字が書かれており、その数字が読み上げられるとチェックが入るわけだが、「砂浜ビンゴ」ではその数字の替わりに書かれているモノを海岸で見つけて撮影する。

「この9つのうち7つは関東の海でも比較的見られると思いますが、チェックされたものが少ないからといって必ずしもそこの海が不健康であるという訳ではありません。このビンゴをもとに、自分の身近な海、訪れた海岸にどんな生きものや植物があるのか、エコトーンという視点で海を見てもらうことが目的です」(志村さん)。

 エコトーンとは、陸と海の境目、たとえば海から海岸、干潟、陸というような、境界となる水際地帯(移行帯、推移帯と呼ばれる)のことを言う。ここは動物たちの住みかでもあり、水を浄化したり、魚が稚魚の時代を過ごしたりする場所でもある。「砂浜ビンゴ」では、波打ち際にあるものから、陸側に少し離れたところにありそうなものまで、バランスよくチェック項目が設定されており、それらを探し、撮影する過程で、海岸全体の様子が理解できる仕組みとなっている。

 身近な貝と言えば、みそ汁に入っているアサリがシジミ。野に咲く黄色い花と言えばタンポポの他は知らないという人でも、海岸で少し注意深く足元を見回すと、ナミノコガイの小さな姿や、ハマニガナの黄色い花を見つけることが出来るかも知れない。

「9つのマスには1つ、その海岸で見つけた謎のものを入れるところがあります。生きものだけではなく、海岸で見つけたものなんでもいいんです。ほかにはないだろう、うちの海岸だけだ! という珍しいものでも、正体不明の漂着物でもいい。その写真を送ってくだされば、専門家が解析してできるかぎり、なんであるかをフィードバックします」(志村さん)。

 このように「砂浜ビンゴ」それ自体を自由研究の課題することもできる。さらに、ビンゴカードにはない謎の植物や海の生き物がたくさんあるなら、それを自分で調べて見るのもいいだろう。これまでNACS-Jが開催した海辺の観察会でも、参加した子供たちからは「砂浜でしか生きられない(姿を見ない)生きものがいることを初めて知った」「いつも海岸を歩いているのに、とっても大きな貝殻があって、こんな貝がいることにびっくりした」と、見慣れているはずの海で多くの新たな発見があったようだ。(島ライター 有川 美紀子)

【関連リンク】
自然しらべ2015 
砂浜ビンゴの詳細、申し込みフォームは以下から入手できる。
http://www.nacsj.or.jp/project/ss2015/index.html