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世界を狙う! 女子陸上界の新星は医学部生との“二刀流” 

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世界陸上を狙う、富山大学医学部5年生の宮澤有紀(左)

世界陸上を狙う、富山大学医学部5年生の宮澤有紀(左)

この日は開頭手術を見学した後に練習した宮澤

この日は開頭手術を見学した後に練習した宮澤

 医学部生との“二刀流”という異色のスプリンターが登場した。6月下旬に開かれた日本陸上競技選手権女子100メートルで、富山大学医学部5年生の宮澤有紀という選手が準優勝した。医学部生で国内トップクラスのスプリンター……。これだけでも、かなり珍しい存在だが、10代後半に原因不明の難病によって、ほとんどスポーツはできなかったというから驚く。この種目の学生チャンピオンにも輝くなど、頭角を現している。本人は「まだ一発屋です」と謙遜するが、現時点でロンドン五輪代表・福島千里に次ぐ存在といえる。

 いったい、どんな選手なのか。彼女は1990年に長野県千曲市で生まれた。中学3年の時には全国大会で3位に入賞するなど、全国的に注目された選手だった。しかし、地元の進学校・屋代高校に入学後、謎の体調不良に悩まされる。極度の低血圧で、階段すら上がれず、座っていると意識が遠のくこともしばしばだった。「欠席してはいけない」と無理して登校しても早退することが多く、当然、インターハイには出場していない。

「高校時代に整体、漢方薬、温熱療法など、保険診療外の治療もいろいろ試してみたけれど効果はありませんでした。2年間の浪人生活を経て症状は改善したものの、今も原因は不明のまま……。闘病生活が医学部を受験したきっかけです。将来は、原因不明の病気に悩む思春期の患者を支えたい」(宮澤)

 富山大学に入学後、「体が動くようになったので、また陸上をやりたい」と陸上競技部に入部した。現在、指導を受ける人間発達学部の福島洋樹准教授と初対面の時、「お前は誰だ?」と聞かれたそうだ。しかし、彼女の動きのよさは際立っていた。大学2年時にインカレで7位に入賞した。3年時に右足の甲を疲労骨折して1年を棒に振ったが、体の限界を知る貴重な教訓となったという。

 復帰後に“大躍進”が始まる。4年時のインカレは11秒85で準優勝、今季は6月14日に行われた日本学生個人選手権で11秒60(追い風参考)をマークして優勝を果たす。日本選手権は福島に大差を付けられて準優勝だったが、7月12日に開かれた日中韓3カ国交流陸上競技大会は、自己ベストの11秒56で3位と健闘した。「11秒60を切ることが今季の目標だったため、11秒50に上げた」というほど、絶好調が続いている。

 宮澤はどんな点が優れているだろうか。前出の福島准教授に聞くと、こんな回答が返ってきた。

「100メートルにはスタートや加速、スピード維持、減速の要素がある。彼女は特に加速とスピード維持に優れています。地面を蹴るのではなく、捉えにいく走り方で、脚を振り下ろす速度が日本人女子の中でトップクラスです」

 さらに、医学部生らしい探求心と、状況を判断し、対処する能力の高さも光るという。福島准教授曰く「手のかからない選手。彼女が自身のコーチでもある」とのこと。宮澤は日々、どんな思いで練習に取り組んでいるのだろうか?


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