第1416回  夫のありがたみがわかった金と私 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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第1416回  夫のありがたみがわかった金と私

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金(北方さん提供)

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 突然夫が入院することになりました。2階の夫の部屋で暮らしている猫が、夫がいなくなったショックで、翌日から餌を食べなくなりました。猫の名前は金(写真、雄、16歳)、名づけ親は私です。

 いろいろ試みましたが、全く食べない日が1週間も続きました。猫は1週間食べなくても平気なのかと思いましたが、ゲッソリとやせ、目だけがギョロリと光っています。

 日頃から私と金の相性は悪く、全く私にはなつきませんし、呼んでもニャーと言ったこともありません。

 夫一筋の金に向かって「あんたはお父さんのお妾さんかい」なんて嫌みを言うと、あくびをするのです。

 そんな金ですが、心配なので少しでも気を引こうとブラッシングをしてやると、気持ちよさそうにゴロンと横になり、のどをゴロゴロ鳴らしました。私は「よし、今だ」と説教を始めました。

「金ちゃん、食べないと死ぬでぇ」と言うと、金はビクッとして私をみつめました。

「お父さんは入院しているの。あんたを捨てたわけやない。死んでもいいなら食べなくてもいいよ、好きにしたらええ。でも、それは自己責任やで。金が悪いねんで」とくどくど言い、「機嫌直しなさいよ」と言い置いて私は階段を下りました。

 翌日2階に行くと、驚いたことに餌はきれいになくなっており、その上、金はニャーと猫なで声ですり寄ってきました。やがて夫が退院してくると、金は私のことは無視、見事に豹変しましたが。

 猫の恩返しはあるのかしらと言うと、金ちゃんは大あくびをしてみせました。

 この入院で、夫のありがたみがよくわかった金と私です。

(北方とし子さん/鹿児島県/72歳/主婦)

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(更新 2021/3/25 )


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